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阪神・岩崎優は直球被打率.103で12球団トップ 必殺仕事人の凄さに迫る

2020 3/2 11:00浜田哲男
阪神の岩崎優投手ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

セットアッパーとして確固たる地位を築いた昨季

岩崎優は昨季48試合に登板し、防御率1.01、26ホールドをマーク。阪神の強力リリーフ陣の一角を担うセットアッパーとして、確固たる地位を築いた。今季も守護神の藤川球児や島本浩也、能見篤史、新外国人のジョン・エドワーズ、ロベルト・スアレスらとともにフル回転での活躍が期待される。ピンチの場面でも動揺しない落ち着いたマウンドさばき。ポーカーフェイスで淡々と仕事をこなしてマウンドを降りていく様は、必殺仕事人のようだ。今回は、そんな岩崎の凄さに迫る。

直球被打率.103は12球団トップ

岩崎の凄さを如実に表しているのが、打者の手元で浮き上がるような伸びのある直球。ど真ん中に投げてもバットがボールの下をくぐり、高めに投げれば振らされてしまう。そんな光景を昨季は幾度となく目にした。直球の凄さは数字にも表れており、直球被打率は、投球回数40イニング以上の投手の中で12球団トップの.103と驚異的だ。

直球の平均球速は約140kmと決して速くはないが、球持ちや腕の振りが良くタイミングをとりにくいのだろう。制球力も抜群で、外角低めにズバッと投げ込む直球に、なかなか打者は手が出ない。直球の割合は約55%。奪った三振の約62%は直球であり、自信をもって投げ込んでいることがわかる。

2019年直球被打率ランキングⒸSPAIA


ゾーンの四隅を意識したリスクの低い配球

ゾーン別データをみると、岩崎の球は低めと外角の割合が高く、ど真ん中を中心とした甘いコースへの比率が低い。対左打者の場合、外角低めの割合が31%と非常に高く同コースの被打率は.059と圧巻。また、外角高めの割合が13%、内角高めの割合が約11%と他のコースと比較して割合が高いが、この2つのコースにいたっては1本の安打も打たれていない。ゾーンの四隅を広く使いつつ打者を翻弄しているシーンがよく見られたが、数字にも明確に表れている。

右打者に対して最も投げている割合が高いのは、外角高め(約20%)で被打率は.067。次に多いのが外角低め(約17%)で被打率は.143。また、3番目に多いのが内角低め(約12%)で被打率は.143と、右打者に対しても四隅を突く投球を徹底。また、ど真ん中に投じる割合は約4%と低く(左打者の場合も約4%)、被打率は圧巻の.000。いかにリスクの少ない投球を実践できているかがわかる。

左打者にはスライダー、右打者にはチェンジアップ

打者の左右によって投じる球種も徹底していた。左打者に多投したのはスライダー(約37%)、右打者にはチェンジアップ(約30%)。特に左打者の外角低めへ逃げていくスライダーで空振りを奪うシーンは幾度となく見られた。配球の多い箇所を赤色で示す投手ヒートマップでも、左打者の外角低めで多くの三振を奪ったことがわかり、スライダーが機能した証拠といえる。

また、対右打者に多投するチェンジアップの奪空振率は約21%と、他の球種と比べても抜群で、被打率は圧巻の.120。タイミングがとりにくい、浮き上がるような直球に加えてチェンジアップを制球されたら、とらえるのは至難の業だ。

登板過多の回避が課題

昨季いた絶対的なセットアッパーのピアース・ジョンソンが今季は不在。島本は昨オフに左肘のクリーニング手術を受けており、新外国人のエドワーズやスアレスはシーズンに入ってみなければわからない。だからといって岩崎の負担が大きくなることは避けなければならないだろう。

いずれにせよ、阪神が優勝争いをするために岩崎の使い方が鍵となることは間違いない。今季も終盤のマウンドを託されるだろう必殺仕事人が、チームの勝利を手繰り寄せる。

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