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阪神大震災から25年…低迷オリックスに差し込む「希望の光」

京セラドーム大阪ⒸMarco Fine/Shutterstock.com
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ⒸMarco Fine/Shutterstock.com

過去20年間でAクラスたった2度

1995年1月17日午前5時46分、早朝の関西地方を未曽有の大地震が襲った。震源地は淡路島北部、マグニチュード7.3。ビルが倒壊し、高速道路がなぎ倒され、火災が起こった。6000人以上が亡くなり、60万棟以上の住宅が被害を受けた。2月14日、政府は「阪神・淡路大震災」と呼称を決定。日本中に自粛ムードが広がり、同年3月に開催された選抜高校野球では鳴り物の応援が禁止されるなど、スポーツ界にも様々な影響を及ぼした。

そんな状況で、神戸市民の「希望の光」となったのがオリックスだった。名将・仰木彬監督の下、「がんばろう神戸」を合言葉にチームが結束。4月は9勝9敗の五分だったが、6月に19勝4敗1分けの快進撃で首位に立ち、9月19日、ついに歓喜のゴールテープを切った。チームを牽引したイチローは首位打者、打点王、盗塁王、最多安打、最高出塁率のタイトルを獲得。他にも田口壮現コーチや福良淳一前監督、12勝を挙げた長谷川滋利、11勝の星野伸之ら役者が揃っていた。

あれから25年。被災地の復興は進み、大部分は平穏な日常を取り戻した。しかし、いまだ復活できていないのがオリックスだ。

95年は日本シリーズでヤクルトに敗れたものの、パ・リーグ連覇した翌96年は日本シリーズで巨人を破って日本一。以降も毎年、優勝争いに絡み、黄金時代を築いたが、イチローがメジャー移籍したあたりから低迷が始まる。

過去20年間でAクラスに入ったのは、2位になった2008年と2014年のたった2度。2019年も最下位に沈み、20年間の平均順位は4.8位だ。

オリックス年度別成績

若手投手陣が台頭、メジャー282発の助っ人補強

ただ、雲の切れ間から復活の光が差し込んでいるのは確か。特に若手投手陣の躍進は目覚ましいものがある。2019年はプロ3年目の山岡泰輔が13勝4敗で勝率第1位、21歳の山本由伸は防御率1.95でタイトルを獲得した。他にも2年目のK-鈴木や21歳の榊原翼らも台頭。シーズン途中からクローザーを務め、18セーブを挙げたディクソンや通算163セーブの増井浩俊もいる。

投手陣に目途が立てば戦略も立てやすいし、大型連敗を防ぐことができる。課題は打線だろう。2019年のチーム打率.242、544得点はいずれもリーグワースト。優勝した西武は756得点を挙げており、実に200点以上も少ないのだ。

そこで今オフは大物外国人を獲得した。アダム・ジョーンズ(前ダイヤモンドバックス)はなんとメジャー通算1939安打、282本塁打のスラッガー。さらに2019年に3Aで打率.321、19本塁打をマークしたアデルリン・ロドリゲス(前パドレス3A)も獲得。両助っ人と昨季29本塁打を放った吉田正尚、シーズン途中に中日とのトレードで加入したスティーブン・モヤが並べば、かなりの強力打線になる。

さらに福田周平が30盗塁を決めるなど、2019年のチーム盗塁数122はリーグ2位。パワーとスピードがうまく絡めば得点力アップが期待できる。

「がんばろう神戸」から四半世紀。本拠地は京セラドーム大阪に移り、12球団で最も優勝から遠ざかるチームとなった。昨季はリーグ連覇の西武に8勝17敗、日本一のソフトバンクに7勝16敗2分けと大きく負け越した両カードでどこまで挽回できるか。分厚い雲の向こう側にオリックスの復活が見える。

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