2年ぶりに最下位転落
2019年シーズン、ヤクルトは前年の2位から一転して、59勝82敗2分と借金「23」の最下位に沈んでしまった。山田哲人、村上宗隆、ウラディミール・バレンティンの3人が30本塁打以上を記録するなど、167本塁打はリーグ2位。656得点も同じくリーグ2位と打線は悪くないように見える。しかし、本塁打が多い一方でチーム打率.244と意外にもリーグワーストだった。
投手陣の数字を見ると、739失点はリーグワースト。リーグ5位のDeNA(611失点)とは128も開きがある。単純計算ではあるが、1試合に約1点多く取られているということだ。防御率4.78もリーグワーストで、唯一の4点台となっている。被本塁打も168本とセ・リーグで最も打たれており、投手陣が苦しんでいることがよくわかる。
投手陣が苦しみ球団史上ワーストの16連敗
5月14日からヤクルトは球団史上ワーストに並ぶ16連敗を記録した。4月終了時点では2位につけており、開幕から上位をキープしていたが、この連敗で完全に勢いを失ってしまう。その後は浮上することができなかった。引き分けを挟まない16連敗はNPBワーストタイ記録となっている。また、11球団すべてに負け越したのも史上初のできごとだった。
その大きな要因となったのが投手陣だ。先発投手の数字を見ると、QS数53はDeNAと並んでリーグワーストタイで、QS率は37.1%となる。多くの試合で先発投手が試合を作ることができていなかったのである。エースである小川泰弘は26先発で13QSとQS率は50%だった。規定投球回に到達している投手の中では回数、率ともにワースト2位。もう少し、試合をつくりたいところだ。
強力打線を擁するヤクルトだけに中継ぎ陣で踏みとどまることができれば、もう少し勝ちを拾えたかもしれない。だが、救援防御率4.42もリーグワースト。先発が試合をつくることができず、中継ぎ陣も打ち込まれてしまったのである。序盤で守護神の石山泰稚が離脱し、勝ちパターンの一角が崩れたことが最後まで尾を引いた。前年は救援防御率3.82でリーグ2位だっただけに、中継ぎ陣の低迷により投手陣全体が崩れてしまったと言えそうだ。
チーム打率はリーグワーストもOPSはリーグ2位
前述したように本塁打こそ多かったが、前年はリーグトップだったチーム打率はリーグワーストと低迷した。一方でOPS(出塁率+長打率).728はリーグ2位。1212三振はリーグワーストだが、本塁打を狙える打者が多いだけにそこは致し方ないだろう。また、570四球もリーグトップとなっており、打撃面の数字は悲観するほど悪いわけではない。
2020年シーズンはバレンティンが抜けることになる。怪我がなければ、30本塁打80打点は軽く期待できるだけにその穴は大きい。現時点で外野の補強は行っておらず、塩見泰隆や中山翔太、山崎晃大朗といった若手がその穴を埋めることになる。
塩見や中山にも一発の期待はあれど、バレンティンほどではない。そのなかでバレンティンがいた2019年シーズンの得点力を維持するためには、戦い方、得点の奪い方を変えていく必要がある。
最下位だっただけに投手陣、野手陣ともに課題がある。とくに投手陣は長年の課題だけにどのように立て直すのかは気になるところ。ドラフト会議では奥川恭伸(星稜高)をはじめ、4人の投手が加わった。2020年シーズンから指揮を執る高津臣吾新監督はどのように育て、起用していくのだろうか。