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ビヤヌエバ獲得の日本ハム 「強打の三塁手」の穴埋め補強となるか

2019 12/10 11:00勝田聡
日本ハムと契約合意した前巨人・ビヤヌエバⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今季巨人でプレーしたビヤヌエバが日本ハムへ

2019年も残すところ1か月を切り、各球団ともに2020年シーズンの編成が進んでいる。すでに国内FA権を行使した選手たちの移籍先は決まり、新外国人選手の獲得に注目が集まっている。

矢野燿大監督体制2年目となる阪神は、メジャー92発の実績を誇るジャスティン・ボアと大筋合意と報道された。2019年シーズン、ボアは大谷翔平と同じくエンゼルスでプレー、またマーリンズ時代にはイチローともチームメートだったとこともあり、名前に馴染みがあるファンは多いかもしれない。

巨人は左打ちの外野手で2019年シーズン、ナショナルズで世界一に輝いたヘラルド・パーラ、剛腕の中継ぎであるチアゴ・ビエイラ、韓国で17勝を挙げたアンヘル・サンチェスと3人を獲得。2連覇へ向けて余念がない。

一方でアレックス・ゲレーロ、クリスチャン・ビヤヌエバは自由契約となりチームを去った。そのビヤヌエバを迎え入れたのが日本ハムである。

埋まらなかった三塁のレギュラー

日本ハムは2018年オフ、それまで三塁を務めていたブランドン・レアード(現・ロッテ)と契約合意に至らなかった。そのため、2019年シーズンは三塁を固定することができず苦しんだ。

先発で起用したのは、横尾俊建(42試合)、平沼翔太(37試合)、近藤健介(29試合)、石井一成(19試合)、淺間大基(9試合)、杉谷拳士(5試合)、今井順之助(2試合)と7人にものぼる。全143試合の3分の1にあたる48試合以上に出場した選手はいなかった。レアードがほぼ守備についていた2018年までの4年間の先発起用人数が、2018年5人、2017年4人、2016年と2015年は2人だったことを考えると、2019年シーズンの栗山英樹監督の苦悩がうかがえる。

守備だけではない。レアードは日本ハムに在籍していた4年間で131本塁打を記録している。他の打者との兼ね合いもあり、下位打線に座ることも多かったが、打線の軸であったことは間違いない。レアードの抜けた今年、日本ハムは2018年の140本塁打(リーグ3位)から93本塁打(リーグ6位)と大きく数字を減らしている。もちろんその他の打者の増減もあるが、レアードの影響が大きいことは疑いようのない事実だろう。

これらのことから、長打力のある三塁手のビヤヌエバが、日本ハムにとってこの上ない補強となることがよくわかる。

レアード同様に我慢の起用となるか

来日1年目のビヤヌエバは巨人で73試合に出場し、打率.223(202打数45安打)、8本塁打、24打点と結果を残すことができなかった。打順も固定されておらず、二軍落ちも経験。最後の出場が8月11日ということからもわかるとおり、終盤の時点で戦力としては計算されていなかったのである。その後、ポストシーズンでの出場もなかった。

日本ハムに移籍しただけで、いきなり打てるようになるわけではないだろう。本拠地の球場も広くなる。しかし、そのような状況でも栗山監督は我慢して起用するのではないだろうか。来日1年目(2015年)のレアードを思い出す。この年、レアードは開幕から極度の不振に陥り、後半戦が始まっても打率は1割台と低迷。栗山監督はスタメンから一度も外さなかった。

その辛抱が実を結び、最終的には打率.231(498打数115安打)、34本塁打、97打点と長距離砲としての結果を残したのである。シーズン中に翌年の契約も勝ち取った。栗山監督による我慢の起用がなかったら、1年で自由契約となっていた可能性が高いだろう。

このレアードという成功事例と同じように、栗山監督が、結果が出なくともビヤヌエバを我慢しながら起用することで最終的に開花すれば、5位からの巻き返しも十分に見えてくる。もちろん、開幕から結果を残す方が望ましいということは言うまでもない。

はたしてビヤヌエバが、「強打の三塁手」という日本ハムに足りなかったピースになるだろうか。2020年シーズン、日本ハムのビヤヌエバに注目したい。

※数字は2019年シーズン終了時点

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