内とレイビンの故障でクローザー復帰
3年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)出場に向け、負けられない戦いが続いている現在リーグ3位のロッテ。開幕からクローザーを務めている益田直也が、今後のキーマンのひとりになるのではないだろうか。
昨季、クローザーを務めた内竜也が故障で離脱。新たなるクローザー候補として獲得した新外国人選手のレイビンも、故障のため開幕には間に合わない。そんな状況の中、クローザーに指名されたのが益田だ。
昨季はチームトップの70試合に登板するなど、タフネスぶりは健在。持ち前の明るいキャラクターもあり、ブルペン陣の牽引役として奮闘した。プロ入り2年目の2013年には33セーブを挙げセーブ王に輝くなど、クローザーとしての実績は十分。今季も4月は2勝(1敗)6セーブ、防御率1.50と、クローザーとして上々のスタートを切った。
防御率8.10…悪夢の5月
益田に悪夢が訪れたのは5月22日のオリックス戦。それまでは防御率0.95、10セーブと抜群の安定感を誇っていたが、2点リードの9回にマウンドに上がると、4四死球を与えるなどまさかの乱調。手痛い逆転サヨナラ負けを喫してしまった。
さらに、サヨナラ負けのショックから間もない24日のソフトバンク戦では、同点で迎えた延長10回に2本塁打を浴び、3失点。結局1死もとれないままマウンドを降りた。25日の試合では最終回のマウンドを任されたのは西野勇士。それでも、首脳陣の益田に対する信頼は揺るぐことなく、以降は復調して現在までクローザーとしてブルペン陣を牽引している。
月別で防御率をみると5月は8.10は極端に悪いが、7月以降は1点台と安定。現在は防御率2.35と及第点といえる数字を残している。
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試合数に多少の違いはあるが、益田の与えた四死球24個は他のクローザーと比べると多目。四死球で無駄な走者を出さないことが、益田が安定感を向上させるための課題のひとつといえる。被打率は昨季が.192、今季も.185と優れた数値を残しているだけに尚さらだ。
宝刀シンカーの比率が昨季より上昇
益田といえば、鋭く変化するシンカーが最大の武器だが、今季もそのシンカーの切れ味は健在。シンカーの被打率は昨季が.100、今季も.119と抜群。今季51個奪っている三振のうち、31個(昨季は17個)の三振はシンカーによるものだ。投球数のうち、シンカーが占める割合は約28%と高く、まさに益田の投球の生命線といえる。
昨季はシンカーの割合が約15%と低く、その分カットボールの割合が約23%と高かった。だが、今季はカットボールが約15%に減少。直球とシンカー主体の配球に切り替えたことが、ここまでクローザーとして安定した投球を続けている要因のひとつといえる。
また、左右打者別の成績をみると、右打者の被打率が.232に対して、左打者の被打率は.158。今季の被本塁打は5本だが、左打者には1本も打たれていない。このあたりも、左打者の外角低めへ逃げていくシンカーが機能している証拠だ。
宝刀シンカーを武器に、ロッテリリーフ陣の最後の砦としてマウンドに上がる益田。今後1点を争う攻防が続いていくと予想される中、チームのAクラス入りやクライマックスシリーズ進出への鍵は、益田が握っているといっても過言ではない。
※数字は2019年9月12日終了時点