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ロッテ・平沢大河はチャンスを生かせるか 輝く長所と克服すべき課題

2019 9/1 06:00浜田哲男
千葉ロッテマリーンズの平沢大河ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

負傷者続出で巡ってきたチャンス

今季4年目のシーズンを送っているロッテの平沢大河。昨季は主に右翼手として、プロ入り最多となる112試合に出場。打率は.213と低迷するも、出塁率は.328と一定の成果を残した。

さらなる飛躍が期待された今季だったが、4月23日に1軍登録を抹消。2軍でも打率1割台と打撃向上のきっかけをつかめずに苦しんだ。しかし、正遊撃手の藤岡裕大が7月19日の日本ハム戦で右足を負傷し、その後遊撃手として定着していた三木亮も8月7日のソフトバンク戦で左手に死球を受けて負傷すると、再びチャンスが巡ってきた。

高出塁率を残すも、課題は遊撃の守備

今季は3月から7月まで30打数2安打と苦しんだ平沢だったが、8月は54打数15安打で打率.278、出塁率は.381と調子を上げている。主に9番・遊撃での出場が続いているが、好調を維持する1番の荻野貴司、2番の鈴木大地の前に出塁してチャンスを作る役割を、ある程度は果たしていると言える。

攻守に課題はあるが、最大の課題は遊撃の守備だ。8月12日の西武戦では1点リードして迎えた4回、併殺を狙えた場面で痛恨の失策。悪い流れを作ってしまい、チームも2-9で敗れた。

8月27日の楽天戦では、浅村栄斗の平凡なゴロを捕球した後に一塁に悪送球してしまうなど安定感に欠ける。一方で、難しいゴロを華麗な身のこなしでさばき、一回転しながら力強い送球で走者を刺す場面なども時折見られるが、やはり守備には一抹の不安があるというのが大方の見方だろう。

直球への対応力が向上

球種別の安打割合に目を向けると、打撃面では成長が垣間見える。昨季は、直球にバットが空を斬ったり振りまけるといった場面が目立ち.173と打率が低迷していたが、力強く引っ張る打球が多く見られるようになった今季は、苦手としてきた直球に対する打率が.278と向上。一方、変化球に関しては、チェンジアップに対する昨季の打率が.320、ツーシームは.353、カーブは.364と、得意としていることがわかる。

今季、8月13日の日本ハム戦の最終打席で見せた技ありの三塁打。日本ハム・秋吉亮のワンバウンドしようかという低めのチェンジアップを地面すれすれのところで見事にとらえると、右中間を深々と破る打球で三塁打となった。センスを感じさせる変化球打ちに加え、振り負けずに直球をしとめられるようになれば、自ずと打率は向上していくだろう。

今季は難しい球をファウルで粘り強くしのぐ場面も見られ、あっさりと空振りしてしまうことも少なくなってきた。また、元々選球眼が良かったため四球も取れる。非凡な打撃センスは誰もが期待するところで、今後の打撃の進化が楽しみだ。

ワンランク上に行くために

打球方向別の打率をみると、昨季は右方向への打率が.492(今季も.429と高打率)と高かった一方で、中方向は.217(今季は.226)、左方向にいたっては.081(今季は.103)。昨季と数値はほとんど変わっておらず、センターから左方向への打球に強さが出てヒットゾーンが広がっていくと、ワンランク上の打者として相手バッテリーから警戒されるようになるだろう。

また、今季は左投手との対戦は少ないものの、10打数0安打とヒットは1本も打てていない。左投手の内側から外側へ逃げる変化球に腰が引ける場面も見られるため、そのあたりを克服していくことがレギュラー奪取の必須条件になりそうだ。

遊撃のライバル、藤岡裕大や三木亮の出塁率は2割台。「選球眼と打撃の粘りに磨きをかけ、長所である出塁率をさらに高める」「遊撃の守備の場数を踏み確固たる自信を持つ」「右中間、左中間を切り裂くような強い打球を数多く飛ばせるようになる」と課題は多いが、ロッテファンは平沢の一挙手一投足を見守り続け、その先の成長した姿を思い描いている。

※数字は2019年8月29日終了時点