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グラシアル、モイネロら攻守で躍動 キューバ勢の活躍でダントツで後半戦へ

2019 7/14 11:00浜田哲男
福岡ソフトバンクホークスのジュリスベル・グラシアルⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

投打でキューバ勢がチームを牽引

7月10日現在、2位の日本ハムに7ゲーム差をつけてパ・リーグを独走中のソフトバンク。交流戦で2年ぶり8度目の勝率1位に輝くと、リーグ戦再開後も勢いを持続。毎試合のように投打がかみ合い、チーム状況の良さがうかがえる。

そんなチームを牽引しているのが、グラシアルをはじめとしたキューバ勢だろう。グラシアルは規定打席未満ながらも打率.329、19本塁打、47打点、出塁率.377と申し分のない成績で、クリーンナップとして十分な働きを見せている。同じキューバ人選手のデスパイネと比べて好不調の波があまり大きくないことも特長で、打球を広角に打ち分ける技術も持ちあわせている。

月別の打撃成績※7月10日終了時点ⒸSPAIA

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一方、デスパイネも鷹の4番として及第点の活躍。5月は絶好調で6月は不振に陥るなど好不調の波はあるものの、打率.262、20本塁打、50打点をマークしていることに加え、得点圏打率.324とチャンスに強いことが魅力だ。デスパイネとグラシアルが中軸にどっしりと鎮座しているため、主砲・柳田悠岐の不在を感じさせない。

投げる方では、モイネロが絶対的なセットアッパーとして君臨。層の厚いソフトバンクのリリーフ陣の中にあっても、その存在感は絶大だ。ここまで37試合に登板し防御率1.51と抜群の安定感を誇り、リーグ2位の20ホールドポイントを挙げている。交流戦ではリーグトップの8ホールドを挙げた。

また、奪三振率が12.87と高く、今季は計51個の三振を奪っているが、直球で21個、スライダーで20個奪っており、どちらの球種でも三振がとれることが魅力だ。今季の最速は156km。チェンジアップやカーブも得意としており、緩急自在の投球で打者を手玉にとっている。

グラシアルが約1ヶ月離脱

ここまで打線を牽引しているグラシアルは、7月末にペルーで開催されるパンアメリカン大会にキューバ代表として招集されることが確定している。7月中旬にチームを離れ、再び合流するのは約1ヶ月後になる。同大会は東京五輪のプレ予選も兼ねており、キューバとしてもグラシアルには是が非でも出場してほしいところだろう。

その他のキューバ人選手に関しては招集されるか否か定かではないが、デスパイネは招集されない契約となっているようだ。いずれにせよ、得点源として機能しているグラシアルが夏場に抜けることはチームとして痛いが、ソフトバンクの選手層の厚さをもってすれば、大幅に戦力が落ちることはないだろう。むしろ、怪我人などが続出した緊急時に新戦力が台頭する傾向のあるチームだけに、どんな選手が出てくるのかが楽しみなぐらいだ。同じキューバ人であり、今年6月に支配下登録された外野手のコラスも頭角をあらわすかもしれない。

チームに溶け込んでいるキューバ勢

今季で3年目を迎えるデスパイネを筆頭に、グラシアル、モイネロ、ミランダ、コラスなど、同一チームにキューバ人選手がこれだけ揃い、尚且つ全選手がチームの勝利に貢献する活躍を見せている。投打においてキューバ勢の存在が、ソフトバンクというチームをより高いレベルへ押し上げていることは間違いない。ソフトバンクがこの勢いを持続したまま後半戦も突っ走るか否かは、キューバ人選手達が鍵を握っていると言っても過言ではない。

※数字は2019年7月10日終了時点