今季も強力打線の西武 18年の課題はどうなった
開幕から1か月が経過し、徐々に各チームの戦力が鮮明になってきた。ここまでの戦いぶりを振り返るうえで、ひとつ注目したいのが、今季のチームは2018年シーズンのチームと比較し、どれだけ進化しているのかという点。“弱点”とされていたポイントを克服できているかどうかが、その目安となるだろう。
そこで「2018年シーズンに生まれた課題に対し、今季はどのような動きがあったのか」という視点から、各チームの開幕1か月を見ていきたい。
今回は昨季と変わらず、開幕直後から圧倒的な打線の破壊力を見せている西武編。
昨季は投手力に不安、先発は菊池の移籍で厳しい状況に
昨季は10年ぶりのリーグ優勝を飾った西武。開幕8連勝とスタートダッシュに成功し、そこから一度も首位の座を譲らなかった。9月はソフトバンクが猛烈な追い上げを見せたが、最後は12連勝で一気に優勝を決めた。
印象的だったのはプロ野球歴代3位の792得点をたたき出した打線の力。浅村栄斗が退団してもなおリーグ屈指の攻撃力は期待できる。やはり課題はリーグワーストのチーム防御率4.24を記録した投手だ。
先発・リリーフのどちらがということもないが、絶対的エースの菊池雄星が退団し、リリーフはヒースらシーズン途中加入の選手で徐々に強化されていったことを考えると、先発の方により大きな課題を持ち越したといえるだろう。
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その中で光明となったのは、高卒3年目を迎えた2016年のドラフト1位・今井達也の台頭。15登板で5勝5敗と将来のエース候補が経験を積んだ。また、オフにはドラフト1位で即戦力の期待がかかる松本航や、巨人から加入した内海哲也、新外国人のニールといった先発型投手が加入。彼らにも貴重なローテーション候補として注目が集まっていた。
内海らローテ当確3投手の出遅れ響く
開幕1か月の時点で課題の先発投手はどのような状況になっているだろうか。
まず、開幕前の時点で先発ローテーションに誤算が相次いだ。期待されていた新戦力の内海、松本、さらに昨季11勝を挙げた榎田大樹が故障などで出遅れて開幕に間に合わず。順当にいけば開幕ローテに入っていただろう投手を3人欠いて最初の1か月を戦う形となった。
4月終了時点で救援防御率3.73に対し、先発防御率4.94。増田達至の復活などでリリーフは善戦しているが、離脱者が相次いだ先発は昨季よりも厳しい状況を迎えている。
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表ローテにあたるのは多和田、今井、髙橋光。この3人は決して安定した防御率とは言えない中でも試合は作り、何試合かは相手を圧倒する投球も見せている。注目の今井は今季初登板こそソフトバンク打線にKOされたが、以降は持ち直してチームトップの3勝を挙げている。
しかし、やはり離脱者が多い分、裏ローテにもろさがある。カード頭に投げる重要な役割“裏ローテ1番手”のニールが防御率5.95、平均4.92投球回では、チーム全体がなかなか流れに乗っていけない。ここまでは昨季の課題から前進したと言えない状況だ。
ただ、そういったチーム事情でも5割で最初の1か月を終えることができた。今季も投手が不安定ながら打ち勝つ野球を展開し、4月終了時点のチーム得点141は、2位楽天の121得点を20点も引き離すリーグダントツの数字。浅村栄斗が退団した中でも打線は変わらず強力だ。
戦列を離れている内海、榎田、松本はすでにイースタンで実戦復帰を果たし、5月中に一軍復帰の見込み。彼らが帰ってきてから投手力がどれだけ上がるのか注目となる。
※成績は4月30日終了時点