広角に打ち分ける
2019年4月9日にサイクルヒットを達成した阪神タイガースの梅野隆太郎。球史に名前を残した後も好調を維持し、打率.342(4月26日時点)と打率上位をキープしている。
昨年と今年の梅野の打撃を方向別に見ると全方向で高い打率を示しており、昨年以上に広角に打ち分けていることがわかる。
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逆方向については、打数が少ないため極端な数字が出てしまっているが昨年の数値を考えると高い水準で落ち着くのではないだろうか。引っ張り、センターへの打撃も昨年より良くなっている。
好球必打、直球とスライダーにも強さ
梅野がいろんな方向によい打撃成績を残せている要因は、無理な打ち方をせずに好球必打に努めているからだと考えられる。
というのもここまでの梅野は、ストライクゾーンの十字形に高打率を残している。この十字ゾーンはコースか高さの、どちらかが甘いエリアである。つまり、打者にとって打ちやすいゾーンと言える。
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四隅と十字ゾーンの打数を比べると四隅は「18」、十字ゾーンは「45」と2倍超だ。甘いコースだけでなく、内角のボールもしっかり見極めて、最も打ちやすいコースを選んで打っている。
自分の打てるコースのボールに積極的に手を出し、反対に打ちにくいボールには無理に手を出さない冷静さが見て取れる。
球種別ではストレートに対してが.400(35打数14安打)、スライダーは.500(16打数8安打)とプロ野球で投じられる回数が多い2球種をしっかり打つことができている。今の梅野は多くの投手にとって脅威だろう。
タイガースの柱になれるか
今シーズンの梅野には、打線の中軸を担う活躍が期待できる。
タイガース打線は現在、糸井、福留という2人のベテランが打線を引っ張っている。ここで梅野が好調を維持できれば、タイガース打線に新風を吹かせることができるはずだ。
捕手と打者の両立は簡単ではないが、ぜひ西武で好調を続ける森友哉と同じく打てる捕手として花開いてもらいたい。
※数字は4月26日時点