本塁打が出にくい一方で、単打・二塁打・三塁打はリーグ最多
1992年よりロッテが本拠地として使用しているZOZOマリンスタジアム(当時は千葉マリンスタジアム)は、その名の通り海がすぐ脇に控えるため非常に強い風が吹くことで有名。高く舞い上がった打球は予測がつかない方向へ落ちていき、変化球の曲がり幅も大きくなる。そのため、野手も投手も風を計算しながらプレーすることを求められる球場だ。
今回はZOZOマリンスタジアムにどのような特性があるのか、データから検証していきたい。
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※PFはパークファクターの略で、相対的な「本塁打の出やすさ」や「得点の入りやすさ」を球場ごとに比較することができる指標。
まず注目したいのが得点のPF。0.87という数値はパ・リーグの球場の中では最も低く、得点が入りにくい球場であることが分かる。本塁打91本もパ・リーグの球場の中で2番目に少ない(最少は札幌ドームの81本)。ロッテのチーム本塁打数が12球団最少の78本ということもあるだろうが、少なからず風の影響を受けていることが考えられる。
本塁打が少ない一方、単打854本、二塁打209本はリーグ最多で、三塁打37本に至っては12球団最多(2位はマツダスタジアムの34本)。本塁打が出にくい球場であることから、打者が高く打ち上げるよりもライナー性の打球を打とうという意識が高いのかもしれない。
そう考えると、昨季から就任した井口資仁監督が掲げる「つなぐ野球」「走る野球」は方向性として間違っていない。また、かつてロッテを指揮して2005年にはリーグ優勝と日本一を成し遂げたバレンタイン監督が「全員が二塁打を打つことを目標にしよう」(本塁打は出にくく、単打では得点効率が悪いため)と選手間の意志統一を図っていたが、それも理にかなっていることになる。
ちなみに、今季限りでの現役引退を発表している福浦和也は、2003年にプロ野球史上2位となる年間50本の二塁打を記録し、2004年にも年間42本の二塁打を記録している。福浦は決して足の速い選手ではなく、外野手の間を抜ける打球がいかに多かったかがうかがえ、まさにマリンの申し子とも言える。二塁打を狙う意識、外野手の間を抜けるライナー性の打球を打つ意識を持つことが、得点力アップにつながる球場なのかもしれない。