今季も全国各地の地方球場で公式戦が開催
今年もプロ野球の季節がやってきた。12球団が日本一を目指し、143試合のペナントレース、そしてクライマックス・シリーズを戦っていくことになる。その舞台となるのが各球団の本拠地であり、全国津々浦々にある地方球場だ。
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※ZOZOマリンスタジアムは改修前の情報を掲載。
※メットライフドームの2019年の収容人数は32,725人となる。(スタンド改修工事のため)
ペナントレースでは大多数の試合が各球団の本拠地で行われており、地方球場での公式戦開催は年に数試合だ。だからこそ大きな盛り上がりを見せており、街をあげたお祭り騒ぎになることも珍しくない。今年も北はスタルヒン球場(北海道旭川市)、南はキャンプでお馴染みの沖縄セルラースタジアム那覇(沖縄県那覇市)まで、様々な球場で公式戦が開催される予定となっている。
毎年のように公式戦が開催されている球場としては、北九州市民球場(福岡県北九州市)や坊っちゃんスタジアム(愛媛県松山市)がある。恒例行事となっており、北九州市民球場ではソフトバンクの人気イベントのひとつ「鷹の祭典」開催されている。
DeNAはここ数年で地方開催の主催試合を減らしてしまったがHARD OFF ECOスタジアム新潟(新潟県新潟市)での地方試合は今年も開催する。新潟県は南場智子オーナーのお膝元でもあり、これは今後もしばらく続きそうだ。
また2017年に初めて楽天の一軍公式戦が行われた、はるか夢球場(青森県弘前市)では今季も3年連続となる開催が予定されており、新たな定番となりつつある。
最も古いのは阪神甲子園球場
さて、ここからは多くの野球ファンにとって馴染み深い12球団の本拠地について見ていきたい。最も古い歴史があるのは1924年8月に開場した阪神甲子園球場(以下、甲子園球場)だ。プロ野球だけでなく、高校野球でも使用されており高校球児にとっては憧れの聖地となる。また、収容人数が最も多い球場でもある。
甲子園球場に次ぐ歴史の長さを誇るのは、1926年10月に開場した大学野球の聖地でもある明治神宮球場(以下、神宮球場)だ。しかし、詳細な日程は定まっていないものの、近々建て替えの予定があり、生まれ変わることになりそうだ。
ドーム球場では1988年3月に開場した東京ドームが最も古い。当時は「ビッグエッグ」とも呼ばれていた日本初のドーム球場だが、すでに開場から30年以上が経過している。
逆に最も新しい球場は2009年4月に開場したMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島(以下、マツダスタジアム)だ。メジャーリーグの球場を思わせるような天然芝であり、人工芝の球場とは打球の転がり具合も異なるため、守備面で苦労する選手もいる。
甲子園は本塁打が出にくい?
野球はサッカーやバスケットボールとは異なり、フィールドの大きさが球場ごとに変わってくる。そのため、本塁打が出やすい、あるいは出にくいといった球場ごとの特性が出てしまう。本拠地の特性によって、チームづくりが変わってくることも珍しくない。
昨季の数字を見ると本塁打が多く飛び出したのは、DeNAの本拠地である横浜スタジアム(182本)だった。1試合平均にすると2.56本となる。
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それに続くのが西武の本拠地メットライフドームとソフトバンクの本拠地福岡ヤフオク!ドーム(177本)となる。本数では横浜スタジアムに及ばないが、平均本数は2.68本で横浜スタジアムをしのぐ。
横浜スタジアムを本拠地とするDeNAにはセ・リーグ本塁打王のネフタリ・ソト、そして日本を代表するスラッガーである筒香嘉智が所属している。また西武にはパ・リーグ本塁打王の山川穂高がおり、ソフトバンクには柳田悠岐やアルフレド・デスパイネが在籍中。球場の特性を生かしている。
一方で、本塁打が出にくいのは阪神の本拠地である甲子園球場(68本)となっており、1試合平均は1.10本。そして日本ハムの本拠地・札幌ドーム(81本/1.42本)、中日の本拠地・ナゴヤドーム(82本/1.21本)と続く。試合数の関係もあり、平均で見ると札幌ドームよりもナゴヤドームの方が本塁打は生まれにくいということがわかる。
甲子園球場で本塁打が出にくいのは、他球場に比べて広いことだけではなく、浜風と呼ばれる右翼から左翼へ吹く風の影響もある。投手陣にとってはありがたい風だが、左打ちの打者にとっては恨めしい存在だ。本塁打王のタイトルホルダーを見ても、阪神からは1986年のランディ・バース以来不在となっており本塁打が生まれにくいことを物語っている。
得点が多いのはメットライフドーム
得点のランキングを見ると、本塁打ランキングと少し様子が異なっている。もっとも得点が入ったのはメットライフドームで747点。1試合平均では11.32点となっている。
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以下、神宮球場が715点(10.67点)、マツダスタジアムが668点(9.54点)と続く。これは、本塁打の出やすさもあるが、ホームチームの打力による影響が大きい。事実、昨季のチーム打率を見ると西武とヤクルトはリーグ1位、広島は3位となっていることからもそれはわかる。
逆に最も得点が少なかったのは、本塁打と同じく甲子園球場で448点(7.23点)。メットライフドームとは1試合平均で約4点の差がついている。それだけ得点を期待しにくい球場ということだ。
このように球場ごとの特性が異なるため、本塁打や得点の入り方に偏りが生じてくる。球場観戦時はもちろん、ドラフトや新外国人選手の補強時にこれらのことを頭に入れておくと、野球がさらに面白くなるかもしれない。