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昨季は“新守護神”が続々登場 パ・6球団のクローザー事情は?

2019 1/18 07:00青木スラッガー
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パ・リーグは守護神の顔ぶれがガラリと変化

僅差リードの最終回に登場し、試合を締めくくるクローザー。ここがしっかりしていないと上位に入ることは難しく、戦力を測るにあたり重要なポイントのひとつだ。今回はキャンプインを前に、パ・リーグ6球団のクローザー事情を確認しておきたい。

昨季、パ・リーグ各球団のクローザーの顔ぶれは前年と大きく違うものになっていた。2017年から2年連続で20セーブ以上を記録したのは増井浩俊のみ。その増井も日本ハムからFA移籍によるオリックス加入1年目とあって、各球団で“新守護神”の登場が目立つシーズンとなった。

パ・リーグ セーブ数ランキング(10セーブ以上)2018年 パ・リーグ セーブ数ランキング(10セーブ以上)2017年(10セーブ以上)2018年

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オリックスは通算156セーブの平野佳寿がメジャー挑戦で退団。大リーグでの活躍は目覚ましいものがあったが、その代役を期待されオリックス入りした増井も平野の穴を見事に埋める働きだった。日本ハムでの2015年(39セーブ)に次ぐ35セーブを記録し、防御率も2.49と安定。4年契約2年目の今季も不動の守護神として期待がかかる。

ソフトバンク・楽天・西武は“絶対的守護神”復活となるか

新守護神が続々登場した背景には、これまで絶対的守護神として君臨してきた投手に故障や不振が重なったことが要因にある。

2017年にシーズン54セーブのプロ野球記録を樹立したソフトバンク・サファテは股関節を痛め、開幕早々4月に離脱。手術を受け、残り試合を全休となった。前年まで複数年結果を残していた楽天・松井裕樹、西武・増田達至も昨季は不振で、クローザーとしては活躍できなかった。

ソフトバンクは2017年までセットアッパーを務めていた森唯斗が急遽クローザーに入り、37セーブを挙げる活躍でサファテの穴をカバー。日本一の立役者のひとりといっていいだろう。楽天は加入2年目のハーマン、西武は昨季途中の5月に加入したヒースが代役でクローザーを務め、両者とも好成績を残した。

昨季は実績のあるクローザーを据えて開幕を迎えたソフトバンク、楽天、西武の3球団。その構想とは違う形になったが、代役がすんなり見つかったことは今季においても大きい。サファテ、松井、増田が機能しなくとも、それぞれ代わりになる投手がいる。

ただ、やはりかつての守護神の復活が計り知れない戦力の上積みになる。定位置を奪い返すだけの投球を見せられるだろうか。

日本ハム、ロッテも競争の可能性

日本ハム、ロッテも有力なクローザー候補はいるが、確定というほどの状況ではない。

増井が抜けた昨季の日本ハムは、高卒4年目の石川直也が52登板・防御率2.59・19セーブと善戦し、守護神定着へ前進した。ただ、2017年までもセットアッパーとして何年も活躍を続けていたソフトバンクの森とは異なり、まだ経験の浅い石川はシーズンを通して働けるか未知数なところはある。

そこで、石川が故障で不在の期間に、浦野博司がクローザーの適性を示したことは大きい(昨季7セーブ)。また、クローザー候補として獲得し昨季12セーブを挙げたトンキンは退団となったが、このオフはリリーフ要員に前カブスの158キロ右腕・ハンコックを獲得してており、競争になる余地もありそうだ。

ロッテはベテラン内竜也が自身最多の26セーブ。度重なる故障を乗り越えてクローザーの立場を確立した。しかし5敗を喫し、防御率も3.84と他球団のクローザー陣と比べてまだ絶対的な存在ではない。また今オフは右肘にメスを入れており、シーズンを通して活躍できるか、コンディション面の不安は無視できない。

オフの補強としては、クローザー候補のひとりとして前ブレーブスのレイビンが獲得された。また、最速155キロの触れ込みで入団するドラフト2位・東妻勇輔も本人がクローザーを志願しているとあって、候補のひとりになる。

増井がいるオリックス以外の5球団は誰が最終回を投げることになるのか、ふたを開けてみないとわからないところがある。今季のパ・リーグは、どれだけ早い段階で勝利の方程式を確立できるのかが、ペナントの行方を左右するひとつのポイントになるかもしれない。


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