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巨人・中日は新守護神登場となるか?セ6球団のクローザー事情

2019 1/17 11:00青木スラッガー
山崎康晃,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

2018年シーズンは30セーブ以上が4人

オフの補強戦線も一段落。各球団の戦力は形が見えてきたが、今回は最終回のマウンドを託されるクローザーに焦点を当てて、セ・リーグ球団の状況を確認しておきたい。

投打に様々ある野球のポジションの中で、責任の重いクローザーという役割は「固定すべき」という概念が特に強い。実績のある投手がいない球団は不安も大きく、戦力を分析するうえで、ひとつのわかりやすいポイントになる。

昨季のセ・リーグはセーブ王争いが大混戦の展開となった。DeNA・山崎康晃(37セーブ)、ヤクルト・石山泰稚(35セーブ)、広島・中崎翔太(32セーブ)、阪神・ドリス(32セーブ)と、4人のクローザーが30セーブ以上をマーク。11月に一旦、自由契約となったドリスは阪神と再契約を結び、4人ともチームに残った。

セーブ上位6人表

ⒸSPAIA

DeNA・ヤクルト・広島は安定 阪神はドリスと球児で競争も

日本人投手3人は今季も「不動の守護神」の立場が揺るがないだろう。

昨季の活躍を記すと、山崎は序盤に通算100セーブを達成し、4年目で初のセーブ王を獲得。石山は開幕当初セットアッパーだったが、ほかのリリーフ陣の不振により4月途中から配置転換。そこから安定した投球を続け、クローザーとして一本立ちとなった。中崎は2017年シーズン、故障で一時期戦列を離れた影響もありセットアッパーに回ったが、昨季はクローザーに返り咲き。リーグ優勝決定まで無敗で守護神の役割を果たしている。

DeNA、広島はここ数年クローザーに困っていなかった。ヤクルトは過去2年クローザーを固定できていなかったが、昨季の新外国人カラシティーの誤算がきっかけで、石山が定着に至ったことは大きな収穫だ。

阪神に関しては、違った勝利の方程式が生まれる可能性も否定はできない。ドリスは2年連続で30セーブを達成したものの、昨季は7敗を喫して守護神としては不安定な出来だった。今季はかつての絶対的守護神・藤川球児がクローザー奪取に名乗りを挙げており、競争となりそうだ。

巨人は新外国人クックを獲得したが……

昨季クローザーに悩まされたのは中日と巨人だ。中日は、2017年シーズンにリーグ2位の34セーブをマークした田島慎二が誤算。昨季は30登板・防御率7.22で15セーブに終わり、ブルペンが苦しい1年となった。

ただ、終盤には好材料もあった。これまで目立った実績のなかった3年目の佐藤優が夏場から台頭し、42登板・防御率2.08と救世主の働き。最終盤には9回を任されるようになり、5セーブもマークしている。また、21歳のドラ1ルーキー鈴木博志も53登板・防御率4.41の成績で4セーブを記録しており、候補のひとりになる。

巨人はカミネロがチーム最多の11セーブ。巨人加入の2017年は29セーブを挙げた剛腕だが、昨季は20登板・防御率5.79と期待に応えられなかった。そのカミネロも退団。手術明けのマシソンに過度な期待は寄せられず、新守護神の擁立は最重要課題だ。

このオフは前マリナーズの右腕クックがクローザー候補として獲得された。しかし、外国人枠の問題がある。現時点で巨人は投手にクックのほか、マシソン、ヤングマン、メルセデス、アダメス、野手にビヤヌエバ、ゲレーロ、マルティネスと計8人の外国人選手が在籍。4人の枠をめぐるシビアな争いが予想され、日本人のクローザー候補も考えなくてはならない。

クローザーの実績がある山口俊は先発で起用される見込み。クローザー経験者の上原浩治や澤村拓一か、はたまた鍬原拓也、畠世周といった馬力のある若手か。広島からFAで丸佳浩をはじめとする大補強を行い、戦力を整えた巨人だが、外国人枠の関係もありクローザー事情は混沌としている。一方、中日は「田島の復活」か「佐藤・鈴木博のブレークか」という形で状況がわかりやすい。

与田剛監督、原辰徳監督と新体制でスタートする両チーム。課題のクローザーを確立し、上位へ反撃となるだろうか。


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