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主力3人流出の西武 ザック・ニール、内海らの活躍に期待

2019 1/2 11:00勝田聡
西武山川,ⒸSPAIA
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開幕8連勝から1度も首位を譲らず

2008年以来、10年ぶりにリーグ優勝を果たした西武。開幕から1度も首位を譲らない圧「逃」劇だった。開幕カードとなった日本ハム戦で3連勝すると、その後も勝ち続け連勝は「8」に伸びた。3・4月はなんと19勝5敗、勝率.791と早くも独走体制を取り始める。しかし、5月は10勝14敗、6月は11勝11敗1分と小休止。日本ハムにゲーム差「0」まで迫られるも、かわされることはなかった。7月以降は再び快進撃を続け、他チームを寄せ付けない。終わってみれば、88勝53敗2分で2位のソフトバンクに6.5ゲーム差をつける圧勝だった。

しかし、クライマックスシリーズではソフトバンクに競り負け、日本シリーズ出場を逃してしまう。最後の挨拶では辻発彦監督が涙を流すほどの悔しさに包まれた敗戦だった。

西武成績表

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リーグ優勝を果たしたチームを引っ張ったのは「山賊打線」とも呼ばれた攻撃陣だ。チーム本塁打数こそ2位だったものの、打率、得点、盗塁とすべて1位。792得点はプロ野球歴代3位の得点数でもあり、まさに破壊力抜群だった。個人で見ると浅村栄斗が打点王、山川穂高が本塁打王を獲得。秋山翔吾が打率2位、森友哉、源田壮亮、外崎修汰も好成績を残しており、一人に頼らず多くの選手が結果を残した形だ。

一方の投手陣では多和田真三郎が16勝5敗、菊池雄星が14勝4敗、榎田大樹が11勝4敗と多くの貯金を稼ぎ、一定の成績を残した。しかし、前半戦は中継ぎ陣の不振が目立ち、抑えも固定できたかった。シーズン途中にデュアンテ・ヒース、カイル・マーティンの外国人選手を獲得し、ようやく形が出来上がった格好だ。シーズンを通してみるとチーム防御率4.24(6位)は誇れる数字ではない。やはり、打線の力が大きかったと言えるだろう。

浅村栄斗、炭谷銀仁朗がFAで退団

このオフの西武は大きな流出があった。浅村栄斗、炭谷銀仁朗のふたりがFA権を行使。浅村は楽天、炭谷は巨人へと移籍した。そして菊池がポスティング制度でMLBを目指しており、退団することが濃厚。主力3人が同時に抜けることとなりそうだ。

一方の補強では新外国人選手としてザック・ニールを獲得。ニールは先発、中継ぎ両方での経験があり、起用法は春季キャンプ、オープン戦での適正を見てから決まることになりそうだ。その他には炭谷のFA移籍に伴う人的補償として内海哲也を巨人から獲得した。内海は通算133勝をマークしており、昨シーズンも5勝5敗の成績を残している。同じ軟投派左腕の榎田が移籍1年目で好結果を残したように、内海も続きたい。また、巨人を戦力外となった廖任磊も獲得。豪腕の中継ぎとして期待がかかる。

ドラフトでは1位で根尾昂(大阪桐蔭高→中日)ら高校生の有望株に入札せず、即戦力投手の呼び声が高い松本航(日体大)を一本釣り。2位では大型右腕の渡邉勇太朗(浦和学院高)を獲得し、即戦力と大器の両方を獲得することに成功した。3位では二塁のレギュラー候補となる山野辺翔(三菱自動車岡﨑)を指名し浅村流出の備えを行っている。手薄な投手陣としては粟津凱士(東日本国際大/4位)、森脇亮介(セガサミー/6位)と大学生、社会人をそれぞれ指名。その他には高校生捕手の牧野翔矢(遊学館高/5位)、佐藤龍世(富士大/7位)を獲得している。

投手、捕手、内野手、外野手を指名しつつ、年齢層にも配慮するバランス型の指名となった。また、ドラフト時点ではFA選手の動向が不明だったが、しっかりと備えは行っていた印象だ。

今シーズンは2連覇、そして日本シリーズ出場を目指す西武。このオフの戦力ダウンを乗り越えることができるだろうか。辻監督の采配に注目だ。