防御率3.31の安定感
新潟医療福祉大から県内の大学で初のプロ野球選手として、2016年ドラフト4位で中日に入団した笠原祥太郎。2年目の今季は6月中旬から先発ローテーションに定着すると、チーム2位タイの6勝を記録。先発に限定した時の防御率は3.31の安定感を見せるなど、今後さらなる飛躍が期待される投手だ。本稿では、そんな注目の若手左腕の特徴を探っていく。
まずは球種に着目したい。持ち球は4種類ある中で、特に注目してほしいのがチェンジアップだ。打者を追い込んだ後の投球割合が増えていることからも分かる通り、主にウイニングショットとして用いられており、笠原の投球において欠かせないボールであることがうかがえる。
チェンジアップの特徴はスピード
このチェンジアップの特徴に挙げられるのが、スピードの遅さだ。平均球速114.0キロは、NPBの投手が投げるチェンジアップの中でヤクルト・石川に次いで2番目に遅い数値である。また、ストレートの平均球速と比較すると、その差は24.8 キロとなり、リーグで最も球速差が大きい。
緩急の効果もあってか、チェンジアップの被打率は.165でリーグトップの数字を誇る。加えて、注目したいのは被本塁打がなかったことだ。
これは推測であるが、笠原のチェンジアップは、その緩さから打者が手前で打たされ、また、ボールに落差があることなど複数の要因がホームランを打たれなかった理由と考えられる。ちなみにルーキーイヤーの昨季も、チェンジアップは37打数4安打で被打率.108、被本塁打0本と優れた数字を残していた。
2年目のシーズン終了後、日米野球に向けた侍ジャパンに招集された笠原。壮行試合のチャイニーズ・タイペイ戦を含めた2試合とも、得意の緩急で相手打線を翻ろうしながら、計6回2/3を無失点に抑える上々の代表デビューを飾った。来季はぜひ、“遅球”を操るサウスポーの投球に注目していただきたい。
※文章、表中の数字はすべて2018年シーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム、執筆者:植松 大樹