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隠れた名助っ人!ブランドン・ディクソンを応援したくなる3つの理由

2018 3/7 14:02Mimu
ピッチャー
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外国人選手としては珍しい2年契約を結ぶ

2018年、来日6シーズン目を迎えるオリックス・バファローズのブランドン・ディクソン。2桁勝利の経験はないが、毎年8~9勝と安定した活躍を見せており、ここまで通算43勝をマークしている。金子千尋や西勇輝と並ぶ、先発の柱だ。

2017年シーズン終了後、オリックスはディクソンと2年契約を締結した。2015年のオフにも2年契約を結んでおり、今回で2度目の複数年契約。NPBでは外国人選手と複数年契約を結ぶケースは、そう多くない。つまり、それだけ球団もディクソンを信頼をしているということなのだろう。

しかし、それ以上にディクソンには応援したくなる何かがある。今回はディクソンのこれまでの成績と、彼が持つ魅力について紹介していこう。

2桁勝利こそないが毎年安定した活躍

まずは、ディクソンがこれまで残した成績を振り返っていく。


  • 2013年:23試合 8勝8敗 130回 88奪三振 防御率2.77
  • 2014年:26試合 9勝10敗 154回 118奪三振 防御率3.33
  • 2015年:20試合 9勝9敗 130回2/3 88奪三振 防御率2.48
  • 2016年:27試合 9勝11敗 171回1/3 139奪三振 防御率4.36
  • 2017年;25試合 8勝9敗 136回 86奪三振 防御率3.24

非常に安定した成績を残しているディクソン。2桁勝利こそないが、5シーズン43勝は非常に優秀な数字だ。規定投球回到達は2度だが、130イニングを下回ったことも1度もない。特に2014年は1年間ローテを守り、クライマックスシリーズ出場に大きく貢献している。当時は山崎勝己と組むことが多く、CSにもこのバッテリーで出場。勝ち星こそつかなかったものの好投を見せていた。

応援したくなる理由その1:何とか2桁勝利に届いてほしい!

2014年~2016年まで、3年連続の9勝と2桁勝利に届くチャンスが毎年のようにあったが、なかなか手が届かない。前半は快調に勝ち星を挙げていたのに、夏場以降勝てなくなるというパターンが非常に多いのだ。

2014年は5月までに5勝と順調だったが、6月に1勝3敗、7月に1勝2敗、8月も1勝2敗と勝ち星を伸ばすことができなかった。8月の終盤から調子は上がってきたものの、今度は援護に恵まれず、9月・10月で1勝のみ。結局シーズン通算9勝で終わってしまった。

2015年は開幕から3カ月で8勝、特に5月に4勝0敗 防御率0.26で月間MVPを獲得するなど、最高の滑り出しを見せていた。しかし、オールスター後に右肋関節の損傷が発覚し登録抹消。何とか8月に復帰し、9月15日の試合で9勝目を挙げるものの、再び痛みが発症してしまい、そのままシーズンが終わってしまった。

2016年は6月までに5勝とやや低調であったが、今までとは対照的に7月・8月に2勝ずつを挙げる。だが、9月以降はどん底に陥ってしまい、5試合に登板するものの0勝3敗。またも9勝で終わってしまった。

ここまで安定した成績を残しているのに、1度も2桁勝利を達成していないのは意外に感じるかもしれない。2桁勝利のためには、夏場をどう乗り切るかが課題となっている。来シーズンは2桁勝利達成の瞬間が見たいものだ。

応援したくなる理由その2:外国人投手には珍しい技巧派

ディクソンはズバズバと三振を取るタイプではなく、打たせて取るタイプだ。195cmの恵まれた体格から放たれる140km/h前後のストレートと、キレのあるナックルカーブ、そしてスライダーやチェンジアップなどを投げ分け、ゴロを打たせることを得意としている。助っ人外国人投手としては珍しい、技巧派のピッチャーだ。

やはり長く活躍できる投手は、こういった「投球術」を持っている。このスタイルだと、ある程度年齢が上がり、球威に衰えが見え始めたとしても、成績を落としてしまう可能性は低い。現在34歳のディクソンだが、今後数年は期待できるだろう。

またオリックスの内野には、球界最高峰の守備力をもつ安達了一を筆頭に、広い守備範囲を持つ西野真弘や、複数ポジションで高い守備力を見せる大城滉二らがしのぎを削りあっている。ゴロ投手のディクソンにとって、彼らは頼もしい存在であり、彼らもディクソンの後ろを守ることで、数多くの守備機会を得ることができている。野手陣と持ちつ持たれつの関係なのも、好感が持てる。

応援したくなる理由その3:人柄が魅力的!

ディクソンは何よりも、人柄がよく素直で真面目な印象だ。人がいいというのは、ピッチャーとして必ずしも良いことではないのだが、ディクソンの場合はそれもまたプラスに変え、ここまでの成功を収めているように思う。

コーチのアドバイスも素直に聞き入れ、練習にも手を抜かない。ファンサービスにも積極的だ。来日後に生まれた長女「ナラちゃん」の名前の由来は、日本の「奈良」だそうだ。ディクソンはチームやファンから愛されているが、ディクソン自身もチームとファン、そして日本を愛している。

ディクソンの人の好さはアメリカ時代からおなじみであった。当時ディクソンはセントルイス・カージナルスに所属。2011年にチームはワールドシリーズ優勝を果たしたが、ディクソンはその年4試合にしか登板していなかった。それにもかかわらず、ディクソンに優勝リングと分配金が渡されている。

こういった優勝報酬は、ワールドシリーズに登録された選手以外に渡す場合、選手やフロントたちによる話し合いでどう分配するかが決まる。たった4試合にしか登板していないディクソンにこれらが渡されたのは、当時から彼の人柄がチーム全体に知れ渡っていたからだろう。

オリックスも、ディクソンの人柄も評価したうえで、2年契約を結んだのだと思われる。ディクソンの今の目標は「2桁勝利」と「日本人扱いになる」ことだという。外国人選手は、FA権を取得すれば、その翌シーズンから日本人扱いとなる。あと数年ほどかかるが、ディクソンならきっとやってくれるだろう。