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【選手分析】 ~ロッテ #11 佐々木 千隼~ 「“5球団競合右腕”のポテンシャル」

野球ボール
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“5球団競合の外れ1位”指名を受けた佐々木千隼

※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点

<2017年:投手成績>

 2016年のドラフトで、異例の“5球団競合の外れ1位”指名を受け、抽選の末にロッテへ入団した佐々木千隼。大きな注目を集めたルーキーイヤーだったが、15試合の登板で防御率は4.22、黒星が先行する形でシーズンを終えた。

<2017年:球種別投球割合・被打率>

 即戦力としての期待には応えられなかったという印象も受ける。反面、一軍の打者達を苦しめたボールもあった。スライダーだ。
 ブレーキが利いていて変化も大きいスライダーは、佐々木が最も多く投げた変化球であり、被打率.151と優れた数字を残した。

<2017年パ・リーグ先発投手:スライダーのスイング奪空振り率ランキング>

※スイング奪空振り率=奪空振り÷スイング
※先発でスライダーのスイング数が100以上記録した投手を対象
※先発登板時の成績を対象

 

 そして、佐々木が投げたスライダーが獲った奪空振り率は、42.9%を記録する。これは、昨年のパ・リーグで奪三振王争いを繰り広げた則本(楽天)、菊池(西武)らを差し置いて堂々のトップに立った。
 7月6日からは約2カ月の二軍調整を余儀なくされることもあったが、そんな中でも粛々と大器の片鱗をのぞかせている。

<2017年:期間・球種別ボールゾーンスイング率>

※期間…オールスター前後

 

 もう少しスライダーを追求してみる。すると、ある数字が後半戦に大きく増加していることがわかる。ボールゾーンスイング率だ。
 前半戦は28.6%でリーグ平均にも満たないレベルだったが、その後は42.6%まで上昇。前半戦での数字が振るわなかった一因には、スライダーを投げる際に抜けたり引っかかったりすることが多く、「明らかなボール球」が目立っていたと考えられる。
 それが後半戦には精度が高まり、バッターが見極めるには困難なコースへ投げられていたのだろう。当然、投手は打者にボール球を振らせればカウントを稼げるし、前に飛んだとしてもヒットのリスクは低くなるなど、そのメリットは大きい。

<2017年:期間別投手成績>

※期間…オールスター前後
※与四球率…9イニングあたりの与四球数

 

 ボール球を振らせたこともあってか、後半戦は与四球率が大きく改善され、防御率も1点台を記録。その登板の中には、プロ初完投勝利に加え、西武のエース・菊池と息詰まる投手戦を演じて白星を挙げた試合も含まれる。
 計26イニングにすぎないとはいえ、18年への希望を抱かせるものだった。2年目を迎えるにあたり、昨季終盤に感じたであろう手応えを忘れずに、大物右腕のポテンシャルを余すことなく発揮してもらいたい。


企画、監修:データスタジアム、執筆者:三谷 翔平


《関連データ》千葉ロッテマリーンズ 投手データ


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