ドラフト1位で楽天に入団したオコエ瑠偉
※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点
2015年秋、野手としては球団史上初のドラフト1位で楽天に入団したオコエ瑠偉。高卒2年目の昨季はケガで開幕から出遅れたものの、復帰後は二軍で好成績を残し、8月に一軍合流。
昇格してからは41試合で打率.300を記録するなど、故障者続出で手薄になった外野陣をカバーした。オコエの打撃は、プロの洗礼を受けたルーキーイヤーに比べ、どのような変化があったのだろうか。
※低めで50打数以上の選手を対象
まず高低別の成績を見ると、1年目は真ん中の球しかコンスタントにヒットを打てなかったことが分かる。しかし昨季はさまざまなボールに対応し、高めと低めの数字が大幅に上昇。特筆すべきは低め打率で、リーグ平均が2割台前半という中、3割を超えたのは一握りしかいなかった。
ではなぜ多くの打者が手を焼く、低めへの投球に対して結果を残せたのだろうか。
※フライ割合…全打球に占めるフライの割合
その理由は、打球性質を見ると明らかになる。一般的に低めの球はゴロになりやすく、オコエも1年目はその傾向が強かった。
しかし昨季は膝元の球をすくい上げ、ボールに角度をつけることに成功。フライ割合は前年のほぼ2倍となり、リーグ平均も大きく上回った。フライはゴロよりもヒットになる可能性が高く、これが低めの高打率につながっている。
※二塁打ペース=打数÷二塁打
そんな成長著しいオコエの打撃で、出色なのが二塁打の多さだ。昨季は外野の間を抜く打球が増えたことに加え、外野手の前に落ちた飛球でも自慢の快足を飛ばし、二塁を陥れるシーンが頻繁に見られた。
その結果、8月以降はリーグトップタイの17二塁打を記録。1本の二塁打に要する打数は7.6で、これはシーズン二塁打数の上位4選手を上回る驚異的なペースだった。これを年間通して維持するのは簡単ではないが、20歳の若武者が類いまれな才能の片りんを見せ始めた。
昨年11月に開催された「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」で日本代表入りを果たすなど、シーズン終了後にも貴重な経験を積んだオコエ。3年目を迎える今季は、新たな1番打者として梨田昌孝監督からの期待も高い。
走攻守3拍子そろったスター候補として、ファンからの注目を集める背番号9の歩みを今後も見守っていきたい。
企画、監修:データスタジアム、執筆者:片山 信春
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