スピードガン以上の強気な投球、近藤大亮
※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点
※奪三振率…9イニングあたりの奪三振数
※救援で30投球回以上の投手を対象
昨季、即戦力としてオリックスに入団し、開幕第2戦の先発にも抜てきされた近藤大亮。しかしその後、右肩腱板(けんばん)炎を発症するなど、登板はその1試合のみに終わった。
巻き返しを図った今季は、シーズン途中から一軍に合流すると、11.48という驚異的な奪三振率をマーク。後半戦は主にセットアッパーを任され、チームトップタイの25ホールドを記録した。
今回は、「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」で侍ジャパン入りも果たした右腕に迫っていきたい。
※総投球数500以上の投手を対象
※奪空振り率=奪空振り÷投球数
※ストレートの投球数500以上の投手を対象
まず、近藤の特徴はストレートで強気に押していく投球だ。実に全投球の80%近くを占めており、これだけ直球を多投する投手はリーグでも珍しい。さらに奪空振り率もソフトバンク・サファテ、楽天・松井裕樹といったリーグを代表する守護神に次ぐ数値をマーク。
平均球速こそ144.3キロと決して速くないものの、スピードガン以上の威力を誇るストレートが近藤の生命線だ。
※登板率=救援登板÷ベンチ登録試合数
※救援登板20試合以上の投手を対象
次に、近藤の起用法に注目してみたい。今季、ベンチ入りした試合における登板率はリーグトップの53.4%。5月20日の一軍昇格後は、シーズン終了までフル回転の働きを見せた。
さらに、全登板の約3分の1にあたる19試合が連投でのマウンドだったことも、特筆すべき点だろう。
※与四球率…9イニングあたりの与四球数
しかし、その連投した試合では本来のピッチングが影を潜めた。連日のマウンドとなった時は、制球を乱すシーンが目立ち、平均球速も中1日以上の間隔を開けた場合に比べて約1キロ低下。
近藤はもともと右肩に不安を抱えており、連投時は疲労の影響が多少なりともあったのかもしれない。登板過多はチーム事情等でやむを得ない面もあるが、コンディションを考慮しながらの起用であれば、より良いパフォーマンスを発揮できていた可能性はあるだろう。
そもそも今季、開幕から出遅れたのは右肩痛が原因だった。このケガにはアマチュア時代から悩まされており、今後も付きまとうことになるだろう。その中で近藤は右肩の不安とどう向き合い、首脳陣はどのような運用を図るのか。来季以降の近藤に注目していきたい。
企画、監修:データスタジアム、執筆者:中川 拓樹
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