好球必打の助っ人、DeNA・ロペス選手
※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点
一流打者の証しともいえる3割、30本、100打点をクリアし、自身初となる最多安打、打点王のタイトルを獲得したDeNA・ロペス。主砲・筒香が昨季ほどの状態ではなかった中、打線がリーグ2位の得点を挙げたのは、ロペスの働きによるものが大きいだろう。
クライマックスシリーズでも好調ぶりは変わらず、トータルで打率.333、7打点を挙げ、MVPに輝いた。
ロペスといえば、初球から振っていく積極的なバッティングが持ち味。その一方でボール球に手を出しやすい、という弱点もある。DeNA加入以降、一貫してボールゾーンスイング率はリーグ平均を大幅に下回っており、今季の39.9%はリーグの規定打席到達者でワーストの数値だった。
となると、対戦する各球団も長打の出にくいボール球でロペスを打ち取りたい、と考えていそうなものだ。
ところが、ロペスに対するストライクゾーンへの投球は、むしろ増加傾向にある。初球に限定すると、ゾーン内への投球は昨季の48.3%から今季は51.2%に増えていた。ロペスは初球のストライクゾーンスイング率が56.1%とリーグ平均(37.3%)よりもかなり高く、パワーを考えてもストライクから入るのはリスクが伴う。
それにもかかわらず、相手バッテリーがストライクを選択しがちなのはなぜだろうか。
※OPS=出塁率+長打率
※ロペスの次の打順のスタメン出場数が最多の打者を対象
その理由の1つとして、ロペスの「後ろを打つ打者」に注目したい。今季、ロペスの次の打順でスタメン出場したのは、OPS.856の宮崎(67試合)とOPS.909の筒香(59試合)が大半を占めた。これは、過去2年よりも強力な打者がロペスの後ろに座っていたことを意味する。
カウントが悪くなっても「歩かせて次で勝負」という作戦が取りづらいため、相手バッテリーはストライクゾーンへの投球を迫られた、とも考えられるだろう。
※規定打席到達者を対象
この配球の変化が、タイトル獲得の追い風になった可能性は高い。今季は、ストライクゾーンでリーグトップとなる打率.379をマーク。放った全30本塁打のうち、28本をゾーン内の投球から記録するなど、ストライクゾーンへの投球増を好結果へとつなげていたからだ。
5月4日以降、ほぼすべての試合でロペスの後ろに筒香か宮崎を配置したラミレス監督。自身が現役時代は積極的なスイングで鳴らしただけに、似たタイプの生かし方も理解していたのかもしれない。
日本シリーズの激闘を終えて帰国する際、「素晴らしいシーズンを過ごすことができた」とコメントしたロペス。来季ももちろん、中軸としての活躍が期待されているはずだ。20年ぶりのリーグ優勝、そして日本一という悲願に向け、好球必打の助っ人はそのバットを振り続ける。
企画、監修:データスタジアム
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