あのフォームはどこから生まれたのか?小川泰弘のピッチングの秘密|【SPAIA】スパイア

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あのフォームはどこから生まれたのか?小川泰弘のピッチングの秘密


小川泰弘のフォームはあのメジャーの名投手にそっくり!?

ヤクルトのエースといえば、小川泰弘選手だ。ノーラン・ライアン氏を彷彿とさせるような足を高く上げるフォームから、力のあるストレートをバンバン投げ込んでいる。その独特なフォームはプロ入り後すぐに話題となり、「和製ライアン」との異名もつけられた。

そのフォームで、まず目が行くのはその高く上げられた左足だ。アゴにつくのではないかと思うくらいに足を高く上げ、そのまま全体重を左足に乗せて踏み込んでいく。171cmと小柄な身長ながら、威力のある直球をずばずばと投げ込んでいくのが小川選手のスタイルだ。

しかし、あのフォームは素人目に見てもあまり投げやすいようには見えない。一体あのフォームにはどのような利点があるのだろうか。また、どのような経緯でそこにたどり着いたのかも気になるところ。今回は、そのフォームの誕生秘話に迫っていこう。

大学3年時にフォーム改造に着手

小川選手の特徴的なフォームは、大学3年生の秋から取り入れられた。それまでの小川選手のフォームは、腕を真上から縦に振り下ろす点は今と同じだが、上半身を軽くひねるトルネード気味のフォームで、足はそれほど高く上げてはいなかった。今と比べると、いたって普通のフォームだったのだ。

しかし大学3年生のリーグ戦で敗退し、全国大会への出場権を逃した後「何か変えないといけない」と感じ、いろいろと模索していたようだ。そんな中、ノーラン・ライアン氏の著書「ピッチャーズ・バイブル」を読んだ小川選手は、すぐに「これだ!」と思いフォーム改造に着手していった。そこからは本だけでなく、ネット動画などを見ながら、徐々にフォームを完成させたという。

このフォームでは、より左足に体重が乗るようになり、ストレートの威力が大幅に増した。さらに深く沈み込むために、より腕が真上から振り下ろされるようになり、ボールの角度もより鋭くなる。以前のやや上体をひねるフォームが横回転だとしたら、今のフォームは縦回転のようなイメージだ。そして、このフォーム改造以降、成績が大幅に向上していった。

新フォームでさらに圧倒的な成績に

フォームを変える前の小川選手の成績も決して悪くなく、1年秋にデビューしてから3年生の春(フォームを変える直前)までの成績をまとめてみると、

1年秋:3試合 1勝0敗 防御率1.13
2年春:5試合 4勝1敗 防御率1.59
2年秋:6試合 6勝0敗 防御率0.54
3年春:6試合 4勝2敗 防御率0.57

というものだ。
既にこの時点で、リーグを代表する投手だったのかもしれない。4シーズン合計で15勝を上げており、特に2年秋の成績は最多勝・最優秀防御率・最優秀投手賞・ベストナイン・MVPと5つのタイトルを獲得している。しかし、フォームを改造した3年秋からの成績を見てみると

3年秋:10試合 8勝0敗 防御率0.12
4年春: 8試合 7勝0敗 防御率0.79
4年秋: 8試合 6勝0敗 防御率0.31

とさらに圧倒的な成績を残した。この3シーズンだけでこれまでを上回る21勝を上げており、すべてのシーズンで投手5冠(最多勝・最優秀防御率・最優秀投手賞・ベストナイン・MVP)を獲得した。特に3年秋の8勝はリーグ歴代タイ記録、防御率0.12はリーグ歴代記録をさらに更新する数字であった。

もちろんこのフォームは、他人が簡単にまねできるようなものではない。小川選手はフォームを改造して以降、さらに走り込みを重ねて徹底的に下半身を鍛えた。元々柔らかい方だった股関節にも、さらに柔軟性を持たせるトレーニングも取り入れ、強さと柔軟性を兼ね備えた下半身を作り上げたのだ。

昔から定評のあった強気のピッチング

ついついフォームだけに目がいきがちになってしまうが、もちろん投手としてのすごさはそれだけではない。抜群のコントロールに豊富な球種を使った緩急自在のピッチング、そして常に攻めの姿勢を忘れない気の強さやも持ち味である。これらは高校時代からずっと評価されてきた部分だ。

小川選手は愛知県の県立成章高校出身だ。3年生だった2008年の選抜大会に、21世紀枠として出場している。1回戦の相手は強打で知られる北海道の駒大岩見沢高校。だがこの強豪校相手にも決してひるむことなく、試合を投手戦に持ち込んだ。7回終了時点でスコアは1-2と、1点ビハインドだったものの、8回表に成章高校が2点を入れて3-2と逆転に成功。そして、小川選手の本領が発揮されたのは、その裏のピッチングであった。

先頭バッターがショートのエラーで出塁してしまい、いきなり同点のランナーを背負ってしまう。続くバッターが送りバントの構え。だが小川選手はそんなことに一切動じず、内角高めの顔付近にストレートを投げ込み、見事小フライに打ち取る。
その後盗塁でランナーは2塁に進まれてしまうも、続く打者にも強気に内角を攻めていく。12球粘られるも、最後はアウトローのカーブで空振り三振。執拗なまでの内角攻めの後に、あの変化球を投げられては、バッターはひとたまりもないだろう。続く打者も気迫のこもったストレートでライトフライに。
見事なまでの強気のピッチングで、この場面を切り抜けた。試合もそのまま3-2で成章高校が勝利。21世紀枠ながら強豪校を下し、2回戦へと進出した。

強気な姿勢でチームの柱に

プロ入り後には、その独特なフォームと強気なピッチングで16勝を挙げ、新人王を獲得した。強気に内角を突いていったり、ランナー3塁でも落ちる球で三振を狙いにいったりと、その心の強さにもさらに磨きがかかっているようだ。同じ学年で女房役の中村雄平選手とも相性が良いのだろう。2015年にも11勝を挙げ、チームのリーグ優勝に大きく貢献している。

また強力打線に頼りきりではなく、時には自らホームランを放つ試合もあった(2015年・2016年に1本ずつ記録)。打席でも野手顔負けの気迫だ。いまや小川選手は投手陣の柱どころではなく、チームの柱と言っても過言ではないだろう。
ヤクルトには山田哲人選手を初めとして、若い選手がそろっている。小川選手のように強い気持ちを持った選手は、きっとチームに良い影響を与えてくれるはずだ。これからもエースとして、チームの柱として、どんどんチームを引っ張っていってほしい。


《関連データ》東京ヤクルトスワローズ 投手データ


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