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Isod「.098」阪神圧勝の源泉に「真の選球眼」 データで見るプロ野球2025

2025 11/10 06:00SPAIA編集部
佐藤輝明(左)と大山悠輔,🄫SPAIA
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圧勝を裏付ける「異様なデータ」

2025年のセ・リーグは、まさに「虎の一年」だった。阪神タイガースが85勝を挙げ、2位DeNAに13.0ゲームもの大差をつけて独走優勝。その圧倒的な強さの秘密は、ホームラン数や打率といった華々しい数字だけではない。いや、むしろその逆だ。

力の源泉は、打者の「真の選球眼」を示すセイバーメトリクス指標「IsoD(出塁率-打率)」 にこそあった。

セイバーメトリクス好きなら、今季のIsoDトップ10を見て、誰もが息をのんだはずだ。1位・大山悠輔、2位・森下翔太、4位・近本光司、5位・佐藤輝明、10位・中野拓夢。トップ10に虎の主力たちがずらりと顔を並べているのだ。

2025年の阪神打線がいかに異質だったかを見てみよう。

IsoDランキングに名を連ねた5人は、そのまま阪神の根幹を成す打順(1番近本、2番中野、3番森下、4番大山、5番佐藤)とほぼ一致する。つまり、阪神は1番から5番まで、リーグトップクラスの「選球眼」を持つ打者を並べていたのだ。

相手投手からすれば、悪夢以外の何物でもない。安打だけでなく、四球や死球で出塁できる打者が延々と続く。これが、阪神打線が「アウトを献上しない」、相手に絶えずプレッシャーを与え続けた最大の理由である。

その頂点に君臨したのが、4番・大山悠輔だ。 彼が叩き出したIsoD「.098」は、2位の森下(.075)を大きく引き離す、リーグで唯一の「.090」超え。まさに孤高の数字だ。

この「.098」という数値が持つ意味は重い。今季の大山の打率は.264。決して好調とは言えなかった。だが、彼は焦ってボール球に手を出すことなく、自身のゾーンを厳格に守り抜いた。相手バッテリーの厳しい攻め、あるいは「勝負回避」を、冷静に見極め続けた。

「打てない」状況下で、「出塁」という4番の仕事を果たし続けた「忍耐力」。NPB全体でもトップの四球率(BB%)12.6% が、その威圧感を証明している。

「忍耐」と「選択」

この大山の「忍耐型」の規律とは対照的だったのが佐藤輝明だ。

佐藤は今季40本塁打、102打点を挙げ、見事二冠王に輝いた。その長距離砲が、IsoDでリーグ5位(.068)にランクインするという事実こそ、2025年の阪神の変貌を象徴している。

かつての「フリースインガー」は明らかに変わった。野球評論家のアレックス・ラミレス氏が「今年はボールを最後までしっかり見て打っている。フォームより、球の見送りが良くなっている」 と分析するように、佐藤は「待つ」ことを覚えたのだ。

興味深いのは、彼の打席アプローチを示すデータだ。「見送り」が良くなった結果、四球率(BB%)はリーグ3位(9.5%) と飛躍的に向上した。その一方で、三振率(K%)は2024年の27%から36%(4月時点)へと増加している。

これは矛盾ではない。進化の証だ。 佐藤は「中途半端なスイング(凡打)」を捨てた。そして、「見極める(四球)」か、「強振する(本塁打か三振)」か、という究極の二択を迫る「TTO(Three True Outcomes)型」打者 へと変貌を遂げた。

大山の「忍耐」と、佐藤の「選択」。 性質の異なる二つの変化が、2025年の虎の強力な両輪となっていたのだ。


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