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FA戦線2025-26開幕!有資格選手104名一覧とスケジュール ルールもおさらい

2025 11/1 20:00SPAIA編集部
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FA宣言期間は7日間

福岡ソフトバンクホークスが阪神タイガースを4勝1敗で下し、5年ぶり12度目の日本一に輝いた「SMBC日本シリーズ2025」が10月30日に閉幕した。歓喜の終焉は、すなわち「ストーブリーグ」の始まりを告げる号砲だ。その最大の関心事であるフリーエージェント(FA)権の行使手続きが、10月31日より開始された。

今オフの市場は、球界屈指のリードオフマン・阪神の近本光司という最大の目玉を筆頭に、補償が比較的軽微なBランクと目される中日・柳裕也、そして国内市場には参戦せずポスティングでのMLB挑戦が確実視される巨人・岡本和真やヤクルト・村上宗隆、西武・今井達也らと、様々な力学が交錯する。

一方で、補償不要のCランクとして注目されたオリックス・山岡泰輔は早々に残留を表明。一つの決断が、すでに市場に影響を与え始めている。

この記事では、FA有資格者全104名のリスト、公式スケジュール、FA制度の仕組みまで、今オフのFA戦線で知っておきたい情報をまとめる。

スケジュール
・日本シリーズ閉幕:2025年10月30日(木)
・FA宣言手続き期間:2025年10月31日(金)~11月11日(火)
・FA宣言選手の公示:2025年11月12日(水)
・全球団との交渉解禁:2025年11月13日(木)

2025年FA有資格選手
今季のFA有資格選手は総勢104名(新規国内18名、新規海外12名、既保有74名)に上る。特に注目が集まるのは、今季新たに国内FA権を取得した18名の選手たちだ。

今季新たに国内FA権を取得した選手(18名)
投手(9名)
中川皓太(巨人)、高梨裕稔(ヤクルト)、森原康平(DeNA)、柳裕也(中日)、玉井大翔(日本ハム)、髙橋光成(西武)、山岡泰輔(オリックス)、上沢直之(ソフトバンク)、L.モイネロ(同)

内野手(5名)
吉川尚輝(巨人)、岡本和真(巨人)、植田海(阪神)、藤岡裕大(ロッテ)、N.ソト(同)

外野手(4名)
神里和毅(DeNA)、近本光司(阪神)、松本剛(日本ハム)、辰己涼介(楽天)

球団別FA有資格選手全リスト
【セ・リーグ】
巨人
国内FA:中川皓太、吉川尚輝、岡本和真、高梨雄平、重信慎之介、大城卓三
海外FA:坂本勇人、丸佳浩、長野久義(引退)、小林誠司、田中将大

ヤクルト
国内FA:高梨裕稔
海外FA:小川泰弘、石川雅規、川端慎吾(引退)、中村悠平、山田哲人、石山泰稚、西川遥輝、田口麗斗

DeNA
国内FA:森原康平、神里和毅、三嶋一輝、京田陽太、佐野恵太、D.ビシエド※
海外FA:筒香嘉智、柴田竜拓、戸柱恭孝、伊藤光、宮﨑敏郎、山﨑康晃、桑原将志、森唯斗(引退)

中日
国内FA:柳裕也
海外FA:松葉貴大、大島洋平、大野雄大、駿太、涌井秀章、高橋周平、祖父江大輔(引退)

阪神
国内FA:植田海、近本光司、坂本誠志郎、糸原健斗
海外FA:岩貞祐太、梅野隆太郎

広島
国内FA:磯村嘉孝
海外FA:上本崇司(引退)、會澤翼、松山竜平、菊池涼介、堂林翔太、田中広輔、大瀬良大地、野間峻祥、中﨑翔太

【パ・リーグ】
日本ハム
国内FA:玉井大翔、松本剛、石井一成
海外FA:加藤貴之、宮西尚生、中島卓也

楽天
国内FA:辰己涼介、田中和基、酒居知史、阿部寿樹
海外FA:岸孝之、島内宏明、浅村栄斗、岡島豪郎(引退)、辛島航、則本昂大、鈴木大地

西武
国内FA:髙橋光成
海外FA:源田壮亮、栗山巧、中村剛也、炭谷銀仁朗

ロッテ
国内FA:藤岡裕大、N.ソト※、石川歩、西野勇士
海外FA:唐川侑己、角中勝也、益田直也、荻野貴司、中村奨吾、岡大海

オリックス
国内FA:山岡泰輔、西野真弘
海外FA:大城滉二、岩嵜翔、若月健矢

ソフトバンク
国内FA:上沢直之、L.モイネロ※、東浜巨、武田翔太、有原航平
海外FA:牧原大成、今宮健太、中村晃、柳田悠岐

※ビシエド、ソト、モイネロは外国人選手として国内FA権を取得。ただし、補償を定めるA~Cのランク分けは日本人選手(外国人選手ではない選手)が対象のため、これらの選手には適用されない。

「今さら聞けない」FA制度おさらい

FA交渉を理解する上で欠かせないのが、複雑な「ランク」と「補償」のルールだ。これが各球団の戦略を大きく左右する。

Q1.「国内FA」と「海外FA」の違いは?
A.取得に必要な登録日数が異なる。
国内FA権:合計8シーズン(2007年以降の大学・社会人ドラフト選手は7シーズン)で取得。
海外FA権:合計9シーズンで取得。国内外の全プロ球団と交渉可能になる。

Q2.「A・B・Cランク」って何が違うの?
A.旧球団の「日本人選手内での年俸順位」で決まる。外国人選手は含まない。

Aランク:年俸1位~3位の選手。
Bランク:年俸4位~10位の選手。
Cランク:年俸11位以下の選手。

Q3.「補償」って何が必要なの?
A.獲得した選手のランクによって、旧球団への「対価」が発生する。Cランクの選手には補償が一切不要。

Aランク選手を獲得した場合
「人的補償(プロテクト28名以外から1名)+旧年俸の50%の金銭」
または「旧年俸の80%の金銭のみ」

Bランク選手を獲得した場合
「人的補償(プロテクト28名以外から1名)+旧年俸の40%の金銭」
または「旧年俸の60%の金銭のみ」

旧球団は、獲得球団のプロテクトリスト(28名)から漏れた選手に、自球団の補強ポイントに合致する魅力的な人材がいると判断した場合、金銭の差額以上にその選手の価値が高いと考え、人的補償を選択することが多い。

ポジション別・今オフのFA市場評価

岡本と髙橋光がMLB挑戦、山岡が残留と、市場に出る前の段階で有力選手が減ったことで、今オフは特定のポジションに人気が集中する「トップヘビー」な市場となっている。

外野手は最大の目玉である近本光司(阪神)に加え、守備の名手・辰己涼介(楽天)、かつての首位打者・松本剛(日本ハム)とスタータークラスが揃う。

投手は髙橋光成が国内市場から離脱する可能性が出たことで、柳裕也(中日)が市場の核となった。推定Bランクという獲得のしやすさもあり、投手市場全体の価格と流れの中心となる存在だ。

また、髙橋の市場離脱が決まれば、柳の価値を相対的に高騰させるだけでなく、球団が次善策としてトレードや新外国人獲得に動く可能性を高めており、ストーブリーグ全体の連鎖反応を引き起こす引き金となる。内野手は岡本和真がMLB挑戦に舵を切ったことで、長打力のある選手の層は薄い。

FA宣言の締切日は11月11日(火)。そして、公示翌日の11月13日(木)には、全球団との交渉が一斉に解禁される。市場の主役たちは、何を思い、どの道を選ぶのか。運命の決断まで、残り時間はわずかだ。