昨秋ドラフトは大学生が豊作
プロ野球の2025年シーズンも残り少なくなってきた。今季もルーキーが活躍しているが、新人王争いはどうなっているだろうか。
昨秋ドラフトでは明治大・宗山塁(現楽天)に5球団、関西大・金丸夢斗(現中日)に4球団、青山学院大・西川史礁(現ロッテ)に2球団が競合。大学生が豊作のドラフトだった。
即戦力の大物ルーキーだけでなく、ほかにも新人王候補は多数いる。新人王資格は、初めて支配下登録されてから5年以内で、投手なら前年まで一軍で30イニング以内、打者なら前年まで一軍で60打席以内の選手が保有している。「新人王」と呼ばれるが、対象は新人だけではなく、有資格者は多いのだ。
まずはセ・リーグの主な候補から見ていこう。

セ・リーグは伊原陵人、荘司宏太、石伊雄太、松尾汐恩ら有力
先発で5勝を挙げている阪神・伊原陵人は有力候補の一人だろう。智弁学園高から大阪商業大、NTT西日本を経て昨秋ドラフト1位で入団した左腕。開幕一軍入りし、しばらくは中継ぎで起用されていたが、4月20日の広島戦で初先発初勝利を挙げると、カットボール、スライダー、チェンジアップなど変化球を駆使した投球で6月までに5勝を挙げた。
ただ、以降は勝ち星に恵まれず、登板5連敗となった8月28日DeNA戦の翌日に二軍落ち。新人王を獲るためにはシーズン中に再昇格して復活を印象付けておきたい。
駿台甲府高から国士舘大、セガサミーを経て昨秋ドラフト3位でヤクルト入りした荘司宏太は、35試合に登板して1勝1敗20ホールド、防御率1.29をマーク。5月8日から約1か月間、登録抹消された以外は一軍に帯同しており、中継ぎとして安定した投球を続けている。
DeNAの宮城滝太は滋賀学園高から育成でプロ入りして7年目だが、支配下登録が2022年のため有資格者。42試合で3勝1敗12ホールド、防御率1.83をマークし、暑い8月に12試合登板するなどチームに貢献している。
大物ルーキーの中日・金丸夢斗は味方打線の援護に恵まれず1勝にとどまっているが、防御率2.93と投球内容は安定。ただ、8月25日に登録抹消されており、現状のままでは厳しい。
野手では近大高専から近畿大工学部、日本生命を経て昨秋ドラフト4位で入団した中日の強肩捕手・石伊雄太が66試合に出場。評価の難しいポジションだが、打撃でも2本塁打を放っている。
同じ捕手でもDeNA松尾汐恩は大阪桐蔭高からドラフト1位で入団した3年目だ。バウアーの登板試合でマスクをかぶって信頼を勝ち取っており、打っても4本塁打とパンチ力のあるところを証明している。
ヤクルトの2年目・伊藤琉偉は76試合に出場して打率.213。阪神の5年目・髙寺望夢も50試合に出場しているが、ほかの選手に比べると強調材料に乏しい。
粒ぞろいのパ・リーグ
セ・リーグに比べるとパ・リーグの方が粒ぞろいだ。主な候補は以下の通りとなっている。

達孝太、松本晴、柳川大晟、西川史礁ら候補
天理高からドラフト1位で入団して4年目の日本ハム達孝太は、12試合で6勝1敗、防御率2.12。昨季まで一軍登板は2試合しかなかったが、194センチの長身から投げ下ろすストレートと落差の大きなフォークで一気に素質開花した。
ソフトバンク松本晴は樟南高から亜細亜大を経てドラフト5位で入団した3年目の左腕。開幕当初は中継ぎだったが、5月から先発に転向し、25試合で6勝4敗1ホールド、防御率2.60をマークしている。
九州国際大付高から入団4年目の日本ハム柳川大晟は35試合で2勝1敗11セーブ7ホールド、防御率0.81。8月24日に抹消されたが、最短10日で復帰して優勝争い真っ只中のチームに合流する予定で、191センチの大型右腕にかかる期待は大きい。
明徳義塾高から入団2年目のロッテ寺地隆成は、開幕一軍に入り、一度も抹消されることなく94試合に出場。捕手として投手陣をリードし、打者としても打率.264、5本塁打と攻守でチームに貢献している。
注目の楽天・宗山塁は99試合に出場して打率.258。走攻守でそつのないプレーを見せているが、ややインパクトに欠けるか。
ロッテ西川史礁は80試合で打率.292。本塁打は1本のみだが、一時は4番も務めるなど勝負強さを発揮している。
同じくロッテの山本大斗は開星高から入団5年目のスラッガー。84試合に出場して打率.198だが、11本塁打を放っているパワーは魅力だ。
広陵高から大阪商業大を経て昨秋ドラフト2位で西武入りした渡部聖弥は、83試合に出場して打率.244、8本塁打。残り試合で2桁本塁打に届くか。
各チームとも残り30試合を切っており、新人王有資格選手もラストスパートをかけたいところ。新人王は記者投票で決まるため、シーズン終盤に活躍すれば印象に残りやすい期待もある。優勝争いとともに、若手ホープたちの一投一打にも注目だ。
※成績は2025年9月1日現在
【関連記事】
・ドラフト歴代指名選手一覧
・阪神・藤川球児監督が目前の快挙とは? プロ野球史上に残る名将の仲間入りへ
・パ・リーグ球団別週間MVP オリックス杉本裕太郎が急上昇!ロッテ佐藤都志也は攻守で貢献