高卒野手2人が順調に実戦経験重ねる
今季もニューヒーローが数多く誕生したプロ野球。西武のドラフト1位左腕・武内夏暉がパ・リーグでは7年ぶりとなるルーキーでの新人王に輝くなど、新人選手たちの活躍も光った。
そこで今年のルーキーたちが一軍でどのような活躍を見せたのか、球団ごとに通信簿を作成した。投手は「球威」「制球力」「奪三振」「総合」、野手は「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」のそれぞれ4項目について、5段階で評価している。
今回は4年ぶりのBクラスとなる5位に終わったオリックスのルーキーたちを見ていく。
まず野手では、ドラフト1位の横山聖哉が高卒1年目ながら一軍デビューを飾った。5月24日にプロ初昇格すると、同日の西武戦にスタメン出場し、第2打席にプロ初安打をマーク。最終的に12試合に出場して40打数6安打、打率.150の成績を残した。二軍では86試合に出場して打率.223、1本塁打、22打点だった。
野手の各項目は、パワーがリーグの平均ISO(=長打率-打率:長打力を示す指標)、選球眼は同BB/K(四球と三振の割合から打者の選球眼を見る指標)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定している。
横山は一軍で記録した6安打のうち長打は二塁打1本のみだったため、ISOは.025でパワー評価は「1」。四球もゼロだったため、選球眼評価も「1」、足も決して遅くはないはずだが、spdは1.60と物足りない数字で走力評価も「1」となり、貢献度評価も「1」だった。一軍レベルを体感した今季の経験を来季以降の成長につなげたい。
支配下で指名されたもう1人の野手であるドラフト3位・堀柊那は一軍昇格こそなかったが、二軍で72試合に出場し、打率.254、20打点、OPS.592をマーク。高卒1年目としては十分すぎるほどに実戦経験を積み、将来の正捕手候補として大きな期待を持たせるルーキーイヤーとなった。
投手では古田島成龍が50登板、防御率0.79の大活躍
投手ではドラフト5位の高島泰都と同6位の古田島成龍が一軍戦力となった。高島は5度目の先発登板となった8月8日の西武戦で5回無失点に抑え、プロ初勝利をマーク。先発と中継ぎ双方をこなして計21試合に登板し、2勝2敗4ホールド、防御率4.02の成績を残した。
一方の古田島は中継ぎとして開幕一軍入りすると、プロ野球タイ記録となるプロ初登板から22試合連続無失点をマーク。シーズン通して一軍に帯同し、最終的には50試合の登板で2勝1敗24ホールド、防御率0.79と新人王級の活躍を見せた。
投手の各項目は球威がリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。
高島はストレートの平均球速が147.3キロ、BB%は8.4%と、ともにリーグ平均並みで球威と制球力の評価は「3」。一方、K%は12.6%とリーグ平均の19.0%を大きく下回ったため、奪三振評価は「2」、FIPも4.00でリーグ平均(3.37)に遠く及ばず、総合評価も「2」となった。今季の経験を糧に、来季は1年を通じて一軍でフル回転したいところだ。
古田島はストレートの平均球速が147.1キロ、BB%は9.5%で球威と制球力の評価が「3」だったが、K%は24.0とリーグ平均を上回り、奪三振の評価は「4」。FIPも2.89と優秀な数字を残し、総合評価は「4」となった。来季は背番号が97から今季限りで現役を引退した比嘉幹貴の35となり、先発にも挑戦する予定。新たな背番号とポジションでさらなる進化を目指す。
そのほか、ドラフト2位の河内康介は二軍で9試合に登板(先発4試合)して防御率1.50だったが、右肘のトミー・ジョン手術を受けたため、来季は育成契約で再出発。同3位の東松快征は二軍で0勝3敗、防御率15.43、同7位の権田琉成は二軍で31登板、2勝2敗、防御率3.21の成績だった。
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