12球団トップのイニング先頭打者打率.349
プロ野球のデータを調べていると、意外な数字に出くわすことがある。今回はイニング先頭打者だった際の打率について、2024年の規定打席到達者のランキングを見て驚いた。
12球団で1位はロッテの佐藤都志也だったのだ。確かに今季は116試合に出場してキャリアハイの打率.278をマークした「打てる捕手」だ。
しかし、1番のイメージはない。調べてみると、今季は6月13日のDeNA戦で1番ファーストでスタメン出場したのが唯一。この試合では3回に先頭打者として右安打を放ち、5打数1安打だった。
それ以外の試合では岡大海が1番で起用されることが多く、佐藤は3番、5番、6番あたりが多い。
しかし、イニング先頭打者打率.349は無視できない数字ではないか。もう少し深堀りしてみよう。
岡大海はイニング先頭打者打率.275
今季、佐藤はイニング先頭打者として106打数37安打の打率.349だったが、それ以外は304打数77安打の打率.253。
一方、岡大海はイニング先頭打者として120打数33安打の打率.275だったが、それ以外は242打数71安打の打率.293。
この数字だけを比較すると佐藤が1番で、岡がクリーンアップを打った方が得点力が上がるように思える。そこで得点圏打率も調べてみた。
佐藤は94打数27安打の得点圏打率.287、岡は79打数23安打の打率.291。わずかではあるが、岡が上回っている。
DH制のパ・リーグは9番・投手で攻撃が終わることが多いわけではない。とはいえ、初回は必ず1番打者から攻撃が始まることを考えると、.275の岡より.349の佐藤の方が適任ではないだろうか。
ましてや得点圏打率は岡の方が高いのだ。主砲ネフタリ・ソトの残留が決まり、来季も4番に固定できるとすれば、初回に佐藤が出塁してクリーンアップのソト、岡に回る方が、先制点を奪うチャンスも増える期待が持てる。
丸佳浩はイニング先頭打者打率.333
かつては荻野貴司がリードオフマンとして起用されることが多かったが、39歳となり、今季は80試合出場にとどまった。
今季の1番は岡、荻野、佐藤のほかに藤岡裕大、愛斗、友杉篤輝、石川慎吾、藤原恭大、髙部瑛斗、池田来翔、小川龍成、山本大斗、寺地隆成が起用され、固定できていない。
タイプ的には俊足で左打ちの髙部や藤原らが合いそうだが、ケガもあって伸び悩んでいる。実績では佐藤に及ばない。
今季セ・リーグを制した巨人は丸佳浩の1番起用がハマった。丸も実はイニング先頭打者として207打数69安打の打率.333をマークしており、それ以外は318打数77安打の打率.242と別人のような数字が残っている。
かつては俊足で盗塁王に輝いたことのある丸も、35歳となった今では走塁面で多くは望めない。しかし、バットでリードオフマンとしての役割を果たし、今季は138試合に出場して打率.278をマークした。
佐藤も丸のような新しいタイプの1番になれるのではないだろうか。捕手で1番を打った例は少ないが、今季ブレイクした日本ハム・田宮裕涼は1番で起用されたこともある。捕手だから1番が不向きということはないだろう。
佐々木朗希のメジャー移籍が決まれば、来季は投手陣を助ける意味でも先制点がますます重要になる。1974年以来遠ざかっている勝率1位でのリーグ優勝に向け、来季は佐藤の打順がカギを握るかもしれない。
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