1位指名は大学生投手が中心
今年は10月24日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番も3日後に迫り、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。
本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。今回は広島編。
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はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、広島は合計155人(育成含む)の選手を指名しており、そのうち投手が93人で全体の60%と、投手が多めとなっている。高校生、大学生、社会人(独立リーグ含む)の割合は、それぞれ約47%、32%、21%と、高校生が半数近くを占めており、即戦力よりも素材型重視の傾向にある。
2004年以降の各分類別指名人数
次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2014年以降の過去10年間において、上位指名(3位以上)を中心にどのような傾向があるのか見ていく。
まずは1位指名について。広島は2014年からの10年間で4度単独指名、6度競合。昨年は常廣羽也斗の指名を12球団最速で事前公表し、楽天との2球団競合を制して交渉権を獲得した。一方、最近5年間では3度の一本釣りにも成功している。
また競合した場合の「くじ運」も、3勝3敗の五分と悪くない(外れ1位での抽選も含めると3勝5敗)。高確率で事前の思惑通りに選手を獲得できていると言えるだろう。
過去10年のドラフト1位指名
ポジション別でみると、投手が7人で最も多く、野手は捕手、内野手、外野手が1人ずつだった。投手は7人中5人が大学生で、高校生は2022年の斉藤優汰ただ一人。高校生投手への入札は2012年の森雄大、獲得したのは2009年の今村猛以来だった。
上位も投手重視の傾向変わらず
ここからは上位指名(3位以上)について見ていく。1位は投手の指名が多かったが、3位まで範囲を広げても、30人中23人が投手と投手重視の傾向は変わらない。内訳は高校生6人、大学生13人、社会人4人で、こちらも1位と同様に大学生投手が多かった。
年度ごとの投手と野手のバランスを見ると、「投手3」が4度、「投手2・野手1」が5度、「投手1・野手2」が1度で、「野手3」の年はなかった。過去を遡ると、2012年に支配下で指名した選手が全員野手という年もあったが、基本的には「上位=投手」とみていいだろう。
過去10年ドラフト3位までの指名選手(青色で塗られている選手は大学生)
10年間で野手の上位指名はわずか7人で、その内訳は捕手1人、内野手3人、外野手3人。センターラインと4番候補を指名しているのは他球団と変わらないが、捕手は2017年にドラフト1位で地元・広陵高の中村奨成を指名したのみだった。捕手の指名は4位以降が基本線となっている。
以上より広島の指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。
・指名全体では高校生と投手が多い
・上位指名は大学生投手中心
・上位は「投手2・野手1」が基本型
・捕手は4位以降で指名
かなり投手偏重の傾向にある広島。ただ、今年は地元・広陵高出身の即戦力遊撃手、明治大・宗山塁の1位指名を他球団に先立ち公表。これで3年連続での1位指名公表となった。今年も例年通り上位は「投手2・野手1」の形となるとすれば、宗山の交渉権を獲得できた場合、残る2人は投手を指名する可能性が高いが、果たして……。
※選手のポジションは指名当時
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