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補強ポイント重視も投手偏重の西武 今年は2年ぶりに野手ドラフト敢行か【球団別ドラフト指名傾向】

2024 10/19 07:00SPAIA編集部
西武の武内夏暉,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

1位は投手重視、競合と単独指名は半々の割合

今年は10月24日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番まで1週間を切り、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。

本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。第3回は西武編。

【ドラフト歴代指名選手一覧ページはこちら】

はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、西武は合計157人(育成含む)の選手を指名しており、そのうち投手が89人で全体の約57%を占めている。高校生、大学生、社会人(独立リーグ含む)の割合は、それぞれ約35%、36%、29%と高校生、大学生がやや多めとなっていた。

2004年以降のポジション、候補選手別指名人数,ⒸSPAIA 2004年以降の各分類別指名人数


次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2014年以降の過去10年間において、上位指名(3位以上)を中心にどのような傾向があるのか見ていく。

まずは1位指名について。西武は2014年からの10年間で単独指名、競合ともに5度とちょうど半分ずつの割合だった。ただ、最近は競合することが多く、昨年は武内夏暉の指名を事前に公表し、3球団競合の末、見事に当たりくじを引き当てた。超目玉の選手には競合覚悟で突っ込みつつも、候補選手や補強ポイントを鑑みて、臨機応変に対応しているようだ。

抽選となった場合の「くじ運」は2勝3敗(再抽選も含めると3勝3敗)。近5年では2019年の佐々木朗希、2020年の早川隆久は抽選が外れたが、2021年の隅田知一郎、昨年の武内は引き当てている。

2013年以降の1位指名選手,ⒸSPAIA 過去10年のドラフト1位(青色で塗られている選手は投手)


ポジション別でみると、投手が8人、内野手と外野手が1人ずつ。外れ1位で渡部健人を獲得した2020年も最初の入札では投手の早川に入札しており、基本的には投手を1位指名する傾向にあるようだ。

異例中の異例だった2022年の野手上位独占

ここからは上位指名(3位以上)について見ていく。1位指名は投手重視だった西武だが、2位でも近10年のうち8度も投手を指名していた。3位になると野手が6人と、さすがに野手の数が上回る。1、2位合計の野手指名数は10年でわずか4人だった。

源田壮亮や外崎修汰ら西武の3位指名野手は成功例が多いと言われているが、そもそも1、2位での指名人数自体が少なく、3位で野手を指名する割合が高いことがその要因の一つと言える。

年度ごとの上位3人の「投手・野手」人数割合を見ると、「投手2・野手1」が最多で5度、「投手1・野手2」が1度、「投手3」が3度、「野手3」が1度だった。投手重視の傾向ではあるが、2022年の上位3人野手指名のように、補強ポイントを重視した指名を行っていることがうかがえる。

過去10年のドラフト3位までの指名選手,ⒸSPAIA 過去10年ドラフト3位までの指名選手(青色で塗られている選手は投手)


10年間で10人指名している野手の内訳は、捕手2人、内野手6人、外野手2人。センターラインを中心に、2020年は4番候補として渡部健人を1位指名している。一方で、外野手は2022年に指名した蛭間拓哉と古川雄大の2人のみ。外野手を上位指名すること自体、西武では珍しいのだが、上位2人とも外野手を指名したのは異例中の異例だった。

以上より西武の指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。

・高校生、大学生が中心
・1位は単独指名狙いから目玉特攻へと変化
・上位は投手重視
・外野手は基本4位以降
・補強ポイントに合わせた指名

今季は球団ワーストとなる91敗を喫して最下位に沈んだ西武。チーム打率.212、同本塁打60本はいずれも球団史上ワーストと歴史的貧打に泣いた。これまでの傾向通りなら、今年のドラフトでは補強ポイントである野手で上位指名を埋める可能性が高いだろう。低迷脱却への足掛かりにできるか注目だ。

※選手のポジションは指名当時

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