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なぜセ・リーグは盗塁が少ないのか?阪神・近本光司が残り5試合で5盗塁以下なら最少記録更新

2024 9/26 11:00SPAIA編集部
阪神・近本光司,ⒸSPAIA
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近本光司が18盗塁でトップも、過去最少盗塁王は24個

プロ野球の残り試合が少なくなり、タイトル争いの行方も徐々に見えてきた。セ・リーグの盗塁王争いは近本光司(阪神)が18盗塁でトップ。2位で並ぶ梶原昂希(DeNA)、小園海斗(広島)、羽月隆太郎(広島)に6個差をつけており、当確と見ていいだろう。

それにしても阪神は残り5試合しかないにもかかわらず、18個は少ない。過去最少の盗塁王はセ・リーグが1993年、緒方耕一(巨人)と石井琢朗(横浜)の24個、パ・リーグも2021年に源田壮亮(西武)、荻野貴司(ロッテ)、和田康士朗(ロッテ)、西川遥輝(日本ハム)の4人が並んだ24個だ。

今季は2リーグ分立後最少の盗塁王が濃厚。もし、20個未満でタイトル獲得となれば、1リーグ時代の1944年に19個で盗塁王となった呉昌征(阪神)と呉新亨(巨人)以来80年ぶりとなる。

もっとも、1944年は1チーム35試合しか行わなかったため、金山次郎(産業)が3本塁打、藤村富美男(阪神)が25打点でタイトルに輝いている。 143試合の現在とは数字の重みが違う。

昨季まで5年連続最多盗塁だった阪神が今季は最少

なぜここまで少ないのか。ハッキリとした理由は分からないが、投手のクイックモーションがより速くなっていることや捕手の盗塁阻止率の向上などが挙げられている。2番にスラッガータイプを起用したり、盗塁よりもエンドランを多用するなど戦術的な変化もあるだろう。

近本が所属する阪神は、実はチーム別では中日と並んでセ・リーグ最少タイの37盗塁。最多は65盗塁のヤクルトで、並木秀尊と岩田幸宏が10盗塁、西川遥輝と村上宗隆が9盗塁を決めるなど複数の選手が積極的に盗塁している。

阪神は矢野燿大監督が指揮を執った2019年から4シーズンは全てリーグ最多盗塁を記録し、そのうち3シーズンは100盗塁を超えていた。岡田彰布監督が就任した昨季も79盗塁でリーグ最多だった。

今季も9月23日の巨人戦(甲子園)で9回2死から代打・糸原健斗が内野安打で出塁すると、代走・植田海が二盗に成功。結果的には木浪聖也が三振して敗れたが、勝負どころでは盗塁を仕掛けている。

それでも近本が18盗塁、2021年に盗塁王に輝いた実績もある中野拓夢が6盗塁しかしていないのは、チームとしての方針、戦術によるところが大きいのではないか。

海の向こうではドジャース大谷翔平がMLB史上初の50本塁打・50盗塁を達成。パ・リーグでもトップの周東佑京(ソフトバンク)は41盗塁をマークしている。残り試合でセ・リーグの盗塁数はどこまで伸びるのか、伸びないのか、メジャーとは違う意味で注目される。

※成績は2024年9月24日現在

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