「投高打低」シーズンが続くプロ野球
今季もプロ野球は「投高打低」の傾向が続いている。各球団が40試合ほどを消化した18日時点で投手の防御率1点台はセ・リーグが7人、パ・リーグが6人。その一方で、打率3割を超えている野手はセで3人、パで5人と、投手優位な状況が際立つ。
防御率1点台を記録する投手の顔ぶれを見ると、各球団エース級の投手が並んでいるが、その中でここまで本塁打を浴びていない投手が4人。山﨑伊織(巨人)、小笠原慎之介(中日)、アンダーソン・エスピノーザ(オリックス)、今井達也(西武)が被本塁打ゼロに抑えている。
今季来日したエスピノーザを除き、日本人3投手の昨季成績を見ると、山﨑は10本、小笠原は14本、今井は11本と、いずれも2ケタの本塁打を許していた。それが今季はまだシーズン序盤とはいえゼロと、被本塁打を防いで好投につなげている様がうかがえる。
本塁打は野球の花形とも言われるが、投手にとってはできれば浴びたくない代物。では、この3投手は今季どのようにして本塁打を防ぐことに成功しているのだろうか。
山﨑はゴロ割合増、小笠原と今井は外野フライ減
打者が本塁打を打つためにはフライ打ち上げる必要がある。今季被本塁打ゼロの3投手はフライを打たせないようにするため、昨季に比べ打球のゴロ割合が増加している可能性が考えられる。そこで、各投手の打球性質内訳を昨季と比較してみると、下表の通りとなっていた。
3投手の中で、巨人の山﨑はゴロの割合が42.3%→51.4%と大幅に増え、フライが47.6%→40.6%とその分減少していた。山﨑のゴロ割合(51.4%)は規定投球回到達者の中で3番目と、先の予想通り、今季から打者にフライを打たせないような投球スタイルに変更しているようだ。
中日・小笠原と西武・今井の2投手も山﨑ほどではないがフライの割合が低下しているのが見てとれる。ただその一方で、ゴロの割合も低下しており、山﨑のように今季からゴロを打たせることに注力しているわけではないようだ。
そこで、2投手のフライの内訳を見てみると、外野フライ割合が低下し、内野フライ割合が上昇している。例えフライを打たれても、外野に飛ばさせない投球術を身に着けたということだろう。特に、今井は今季のストレート平均球速が153.3キロと昨季から約3キロ速くなっており、球威で打者を押し込めていることが大きな要因と考えられそうだ。
今季は現場から「ボールが飛ばない」との声が上がっていることも報じられているが、投手のレベルアップが近年著しいことも「投高打低」に拍車をかけている。2リーグ制となった1950年以降、規定投球回数をクリアした投手でシーズン被本塁打0を記録した投手はいない。今季史上初のシーズン記録が生まれるのか、今回取り上げた3投手の投球に注目していきたい。
※成績は5月18日終了時点
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