中央大時代にも主将を務めたキャプテンシー
DeNAは2024年から牧秀悟が新キャプテンに就任した。中央大から2020年ドラフト2位で入団して4年目のシーズン。昨季は164安打、103打点で最多安打と打点王に輝き、推定年俸2億3000万円にはね上がった。実績は申し分ないだろう。
オフに三浦大輔監督から指名された牧は「三浦監督からキャプテン就任を通達されたときは、すでにやってやるぞという気持ちになりました。佐野選手の後を引き継ぐことになりましたが、佐野選手が残してくれたもの、築き上げてくれたものを継承しつつ自分は自分らしいキャプテン像を作り上げていきたいと思います。優勝、日本一に導けるよう先頭に立ってチームをまとめていきますので、ご声援のほどよろしくお願いします!」とコメントしている。
まだ25歳と若いものの、侍ジャパンでも大声を出してチームを盛り上げていただけに心配は無用。中央大時代にも主将を務めたキャプテンシーで引っ張っていくはずだ。
石川雄洋、筒香嘉智、佐野恵太は主将就任後にキャリアハイ
牧はDeNA4代目のキャプテン。歴代のキャプテンは就任後に成績を伸ばしている。
2012年に就任した初代が石川雄洋だった。同年はケガのため80試合しか出場できなかったものの打率.285をマークすると、翌2013年は119試合に出場して打率.275。さらに2014年には自己最多の138試合に出場し、いずれもキャリアハイの7本塁打、36打点をマークした。
2015年から2代目に就任したのが筒香嘉智。同年は4番に定着して打率.317、24本塁打、93打点と自己最高の成績を残した。さらに翌2016年には44本塁打、110打点で二冠王。以降も28本、38本、29本と主砲として打線を引っ張り、主将としてチームを引っ張った。
筒香のメジャー移籍に伴い、2020年から3代目キャプテンに就任したのが佐野恵太。ラミレス監督から指名されると、膨らみかけていたつぼみが開花し、打率.328で首位打者に輝いた。以降もセ・リーグを代表する左打者として活躍したことは説明の必要もないだろう。
キャプテン就任はプレッシャーにもなりそうだが、歴代キャプテンを振り返ると好結果につなげている。牧も昨季を上回る活躍ができれば、悲願の優勝にも近付くはずだ。
課題は四球の少なさと併殺打の多さ
昨季はリーグ4位の打率.293、同3位の29本塁打をマークし、安打だけでなく二塁打もリーグ最多(39本)だった牧。文句のない成績だが、あえて課題を挙げるとすれば四球の少なさだろうか。
昨季の33四球は、セ・リーグの規定打席到達者27人中18位。リーグ最多の99四球を選んで最高出塁率に輝いた阪神・大山悠輔の3分の1に過ぎない。
選球眼を示すセイバーメトリクスの指標「IsoD」はさらに低く、27人中24位の.044。打率の割に出塁率が.337と低いのはそのためだ。
また、併殺打は中日・細川成也、ヤクルト・サンタナと並んでリーグ最多の17。一塁から遠い右打ちで足も速くないため仕方ない面もあるが、チャンスで打順が巡ってくる4番としては少しでも減らしたい。
一昨年、三冠王に輝いたヤクルト・村上宗隆は三振も多いが、四球も多いことで有名だ(昨季は90四球)。牧がボール球を見極め、もっと四球を選べるようになれば三冠王を獲っても不思議ではない。新キャプテンに就任した2024年、さらに風格と粘り強さを増した姿を見てみたい。
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