5位からの巻き返しへ貧打解消が急務の西武
松井稼頭央監督就任1年目の昨季は5位に沈んだ西武。リーグワーストの435得点、90本塁打に終わった貧打が低迷の原因だったことは間違いないだろう。投手陣はオリックスに次ぐリーグ2位の防御率(2.94)を記録するなど健闘。野手陣の頑張り次第で今季は大きく浮上する可能性を秘めている。
球団もその課題解決に向け、このオフは積極的な動きを見せた。昨季在籍したデビッド・マキノンとマーク・ペイトンの助っ人野手2人をともに自由契約とし、新たにフランチー・コルデロ、ヘスス・アギラーとメジャーでの実績もある長距離砲2人を獲得。ソフトバンクへFA移籍した主砲・山川穂高の後釜候補を即座に補強した。
ただ、新外国人の補強だけでは心許ないのも事実だ。昨季パ・リーグの助っ人野手で規定打席に到達したのは、マキノン、グレゴリー・ポランコ(ロッテ)、アリエル・マルティネス(日本ハム)の3人のみ。また、ポランコとマルティネスは国内他球団からの移籍組で来日2年目であり、昨年の新外国人で活躍したのは実質マキノン1人という状況だった。
助っ人補強に成功した西武だが、打撃陣の底上げには生え抜きの若手の台頭も不可欠と言える。昨季は日本ハムから出戻りで加入した佐藤龍世がシーズン後半に打撃が開花。9・10月にはOPS(出塁率+長打率).914をマークするなど三塁スタメンに定着し、このオフには背番号「10」を託され、さらなる飛躍が期待されている。
では、佐藤に続くブレイク候補は誰だろうか。
“ぽっちゃり砲”の後継者候補・渡部健人
山川の後任4番候補として大きな期待を寄せられているのが、2020年ドラフト1位の渡部健人だ。176センチ、115キロと中村剛也から続く西武4番の系譜、“ぽっちゃり砲”にふさわしい体格を持ち合わせている。ただ、ここまではその期待に応える成績を残せていない。
1年目の2021年4月4日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で和田毅からプロ初安打初本塁打を放つ鮮烈デビューを飾るも、2022年は打撃不振に陥り一軍出場なし。昨季も山川離脱後に35試合で代役4番を務めたが、打率.214、6本塁打、25打点の成績でレギュラー定着には至らなかった。
昨季の長打力不足を受け、球団はこのオフ助っ人大砲を2人獲得。実績から見て渡部の本職となる一塁は新助っ人のアギラーが、三塁は佐藤が第一候補となるのが首脳陣の基本構想だろう。出場機会を得るためには春季キャンプからアピールし、数少ないチャンスをものにするほかない。
期待の大砲候補も気付けば4年目。ぽっちゃり系の先輩、中村と山川の2人はともに4年目のシーズンに20発以上を放ち、不動の4番へ上り詰める足がかりをつかんでいる。背水の覚悟で臨む今季、体型だけでなく実績でも後継者としての実力を示すことができるか注目だ。
期待のドラ3野手&出世番号背負う山村崇嘉
渡部と同じ2020年ドラフト組にもう1人、今季飛躍が期待される若獅子がいる。東海大相模高からドラフト3位で入団した山村崇嘉だ。高校通算49本塁打を放ったスラッガーは、スカウト陣から「野球センスが抜けている」と絶賛された逸材で、入団時から主軸候補として将来を嘱望されていた。
その大器の片鱗を見せたのが、昨季最終盤のロッテ戦(ZOZOマリン)だった。10月2日に7番・三塁でスタメン出場すると、第3打席にプロ初安打をマーク。9回の第4打席にはプロ初本塁打を右翼席に叩き込んだ。さらに、翌3日の第3打席でも2試合連続の一発を放つなど2安打。次代のスター出現を予感させるに十分なインパクトを残した。
西武のドラフト3位は外崎修汰、源田壮亮ら野手の主力が多く生まれた縁起の良い順位。また、過去に松井稼頭央現監督や浅村栄斗(現楽天)らがつけた出世番号「32」を背負うなど、大きな期待を受ける21歳。このオフは吉田正尚に弟子入りして自主トレをともにするなど、打撃に磨きをかけており、4年目の今季、一気にスター街道を駆け上がってもおかしくない。
渡部と山村のほかにも2020年ドラフト組では、外野のレギュラーを狙う若林楽人(ドラフト4位)、高卒4年目の長谷川信哉(育成1位)と若手有望株がひしめいている。彼らが一斉に開花するようなことがあれば、5年ぶりのリーグ優勝もぐっと近づくだけに、その活躍ぶりに注目したい。
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