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過去10年で9度競合の阪神 今年も1位指名は「ナンバーワン」か【球団別ドラフト指名傾向】

2023 10/25 11:00SPAIA編集部
阪神の森下翔太,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

1位は競合覚悟で本命を指名

今年は10月26日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番を明日に控える中、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。

本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。第11回は阪神編。

【ドラフト歴代指名選手一覧ページはこちら】

はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、阪神は合計135人(育成含む)の選手を指名しており、そのうち投手が71人で全体の約53%と、投手が半数以上を占めている。高校生、大学生、社会人(独立リーグ含む)の割合は、それぞれ約36%、40%、24%と、社会人の指名が少なめの傾向にある。

2004年以降のポジション、候補選手別指名人数,ⒸSPAIA 2004年以降の各分類別指名人数


次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2013年以降の過去10年間において、上位指名(3位以上)を中心にどのような傾向があるのか見ていく。

まずは1位指名について。阪神は2013年からの10年間で9度競合しており、「ナンバーワン」評価の選手を競合覚悟で指名していると考えられる。昨年は浅野翔吾に入札して巨人と競合の末、抽選を外し、外れ1位で森下翔太を獲得した。

競合した場合の「くじ運」は、2勝7敗とあまり良くない(外れ1位以降での抽選も含めると4勝11敗)。また、くじを外した場合は、2018年に藤原恭大→辰己涼介→近本光司と指名したように、同じポジションの選手を指名し続ける傾向にある。

2013年以降の1位指名選手,ⒸSPAIA 過去10年のドラフト1位指名


ポジション別でみると、投手が5人で、野手は内野手2人、外野手が3人で、捕手の指名はなし。基本的に上位での指名があまりない外野手の1位指名が多い。補強ポイントを重視する傾向にあり、足りないポジションの候補選手がいれば、高い順位で積極的に指名していると言える。

補強ポイント重視の指名傾向

ここからは上位指名(3位以上)について見ていく。1位では投手、野手で大きな偏りは見られなかったが、3位まで範囲を広げてみても、30人中16人が投手とほぼ半々の割合となっていた。カテゴリー別での内訳は高校生9人、大学生15人、社会人6人で、大学生が多く、素材型よりは即戦力重視の傾向がみられる。

年度ごとの投手と野手のバランスを見ると、「投手3」が1度、「投手2・野手1」が5度、「投手1・野手2」が3度、「野手3」が1度と、年度によってばらつきがある。また、2019年は支配下で指名した6人中5人が高校生となっているなど、その年の補強ポイントを意識した指名が多くみられる。

過去10年のドラフト3位までの指名選手,ⒸSPAIA 過去10年ドラフト3位までの指名選手(青色で塗られている選手は投手)


10年間で野手の上位指名は計14人で、その内訳は捕手1人、内野手6人、外野手7人で、センターラインを中心に指名している。捕手は2015年の坂本誠志郎のみ。4位以降で5人指名しており、捕手の上位指名は基本的にはないと考えていいだろう。

以上より阪神の指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。

・指名全体では社会人が少なめ
・1位指名は競合覚悟で本命へ
・上位指名は大学生、社会人の即戦力寄り
・補強ポイント重視

かなり補強ポイントを重視して指名する傾向にある阪神。今季は他球団を圧倒して18年ぶりに優勝したように充実の戦力を抱えている中、ドラフトにはどのような戦略で臨むのだろうか。今年も自分たちの眼を信じ、競合覚悟で「ナンバーワン」を指名するのか注目だ。

※選手のポジションは指名当時

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