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2年連続高校生を単独指名のソフトバンク 今年も未完の大器を一本釣りか【球団別ドラフト指名傾向】

2023 10/24 06:00SPAIA編集部
ソフトバンクの甲斐野央,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

高校生重視の指名傾向

今年は10月26日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番まで1週間を切り、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。

本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。第8回はソフトバンク編。

【ドラフト歴代指名選手一覧ページはこちら】

はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、DeNAは合計209人(育成含む)の選手を指名しており、そのうち投手が107人で全体の約51%と、投手と野手の割合は半々となっている。高校生、大学生、社会人(独立リーグ含む)の割合は、それぞれ約57%、30%、13%と、高校生が半数以上を占めており、将来性重視の傾向にある。

2004年以降のポジション、候補選手別指名人数,ⒸSPAIA 2004年以降の各分類別指名人数


次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2013年以降の過去10年間において、上位指名(3位以上)を中心にどのような傾向があるのか見ていく。

まずは1位指名について。ソフトバンクは2013年からの10年間で7度競合しており、評価した選手へ積極的に入札していることがうかがえる。ただ、昨年はイヒネ・イツア、一昨年は風間球打の指名を事前公表して単独指名するなど、ここ2年は一本釣りに成功している。

競合した場合の「くじ運」はというと、2015、2016年に高橋純平と田中正義を引き当てたが、2勝5敗とあまり良くない。外れ1位以降でも0勝4敗と惨敗で、なかなか目当ての選手を獲得できずにいた。近2年の単独指名はこういったところも影響しているのかもしれない。

2013年以降の1位指名選手,ⒸSPAIA 過去10年のドラフト1位指名


ポジション別でみると、投手が7人で最も多く、野手は内野手2人、外野手1人と他球団とあまり差はない。特徴的なのは初回入札で高校生の指名が8度あり、即戦力というよりも将来への投資を重視する傾向にあるようだ。

高校生重視からバランス型へ

ここからは上位指名(3位以上)について見ていく。1位指名は高校生重視の傾向にあったが、3位まででみても高校生の指名が多い。2015年と2020年に至っては、支配下で指名した選手が全員高校生だった。ただ、ここ5年は全カテゴリーからバランス良く指名しており、戦略が変わりつつある。

投手と野手のバランスを見ると、「投手3」の年が1度、「投手2・野手1」が5度、「投手1・野手2」が3度、「野手3」が1度と、年によってさまざま。近5年は野手が9人と多かったため、今年あたりから投手の上位指名が増えてくることが予想される。

過去10年のドラフト3位までの指名選手,ⒸSPAIA 過去10年ドラフト3位までの指名選手(青色で塗られている選手は高校生)


10年間で野手は計14人指名しており、その内訳は捕手5人、内野手5人、外野手4人。1位ではゼロだった捕手を2、3位で重点的に指名していることがわかる。ここ2年は指名しておらず、今年はそろそろ捕手を上位指名するタイミングかもしれない。

以上よりソフトバンクの指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。

・全体では高校生の指名が多い
・1位入札も高校生重視
・ここ2年は高校生、大学生、社会人バランス良く指名
・捕手を上位で指名

かなり高校生に偏った指名を行ってきたソフトバンク。四軍制を敷くなど、育成にかなり自信を持っているが故の傾向だと思われるが、最近は中々若手が育っていない。その影響か、ここ2年は大学生、社会人の指名も多くなっており、今年も豊作の大学生投手を中心に、バランス良く指名することが予想されるが、はたして……。

※選手のポジションは指名当時

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