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昨季2位から一転、5位低迷のロッテ 優勝争いに食い込めない根本的な要因

2022 9/13 11:19浜田哲男
ロッテの井口資仁監督,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

上位と厳しいゲーム差

62勝64敗1分けでリーグ5位のロッテ(9月12日試合終了時点)。首位のソフトバンクまで5ゲーム差、クライマックスシリーズ圏内の3位オリックスまでは4ゲーム差。残り試合数(16試合)を考えると厳しい状況と言わざるをえない。

前半戦を首位と2ゲーム差で折り返すも、後半戦最初のカードのオリックス戦で3連敗して失速。8月下旬に勝ち星が増えて勢いに乗りかけるも、9月頭のオリックス戦でまたもや3連敗を喫して苦しい状況に追いこまれた。「あの試合を勝てていれば…」という試合を挙げることは簡単だが、今回は根本的な要因を考察したい。

外国人助っ人に依存し過ぎた打線

まず第一の要因が、近年はブランドン・レアードとレオネス・マーティンに依存し過ぎだったことが挙げられる。春先から両外国人助っ人の不振が長引いているにもかかわらず、8月の下旬頃まで起用を続けざるをえない野手層の薄さが問題だ。状態が上がらないのに引っ張り過ぎという見方もあるが、代わりがいないのだ。

中長期的な視点で考えれば、本来はスタメンに脂がのった中堅の日本人選手が何人かいることが理想だ。だが、常時試合に出ていてレギュラーといえる中堅の選手は中村奨吾のみ。7月の上旬から井上晴哉がスタメンに名を連ねているが、これまで基本的に多かったスタメンの構成は中村、外国人助っ人、ベテランの荻野貴司のほか、髙部瑛斗、佐藤都志也、山口航輝、安田尚憲、松川虎生らの若手だ。

ただ、逆にいえば、若手が多くの出場機会を得られており、来季以降飛躍するための経験を積むことができているのは明るい材料。特に荻野の後釜と呼ぶに相応しい髙部の台頭は大きい。8月19日の楽天戦から21試合連続で4番を務めている山口も、キャリア初の二桁本塁打を達成しており、そのことが自信になるはずだ。

貯金を作れる大黒柱の不在

第二の要因は、貯金を作れるエースと呼べる大黒柱がいないこと。ここまで佐々木朗希は8勝4敗と及第点の成績を残しているが、シーズンをフルで働く体力と経験はまだないし、20歳の佐々木に何もかも求めるのは酷だろう。

エンニー・ロメロも8勝をマークしているが9敗を喫しており、ベテランの石川歩や美馬学もともに7勝6敗と貯金はそれぞれ1つずつ。何よりもの誤算が、小島和哉が3勝10敗と大きく負け越していることだ。やはり貯金を作れる大黒柱が1枚いるかいないかは大きな違いだ。

年齢層を考えると、先発陣もローテーションを守るような中堅がいないため、若手の成長と台頭が必要不可欠だ。違う言い方をすれば、成長を待たなければいないため時間がかかる上、ある程度の忍耐をもって起用し続ける必要がある。

9月7日の西武戦で5回1失点と好投した佐藤奨真は貴重な経験を積んでいるし、9月12日の日本ハム戦で6回無失点と好投した鈴木昭汰も、本来は先発ローテーションに食い込んでこなければいけない存在だ。

また、8月に戦列に復帰し、リリーフ登板でこれまで無失点と存在感を見せる(5試合登板、投球回は7回2/3)岩下大輝の起用法を今後どうしていくのかもポイントになるだろう。威力のある直球(被打率.071)と空振りのとれるフォーク(奪空振率18.8%)、マウンド上の雰囲気は、セットアッパーやクローザーとして力を発揮できるのではないかと以前から思っている。

勤続疲労もあってか、クローザーとしての働きに陰りが見えている益田直也を含め、投手陣の配置転換なども一考だ。

中長期の視点での起用、采配、育成に期待

一昨年、昨年とリーグ2位となったロッテだが、一昨年の同一カード6連戦や少ない年間試合数、昨年まで延長戦がなかったことなど、新型コロナの影響でイレギュラーな要素が多く、ラッキーな部分も多分にあった。また、外国人助っ人がチーム得点の大部分を稼ぐなど、本当の意味でチーム力が上がったのかを問われれば疑問符がつく。

外国人助っ人に頼ることは必要だが、依存し過ぎていてはチームが底上げできない。真に力のあるチームであれば別だが、リーグ2位になったから次は優勝と考えられるほど甘くもない。目先の勝利も当然大事だが、それと同時に中長期の視点でビジョンを感じられる起用、采配、育成に期待したい。

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