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巨人V逸の最大要因は?他球団が最も警戒していた「投打のキーマン」

2021 12/29 07:00楊枝秀基
巨人の菅野智之,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

2018年以来の負け越しで3位

毎シーズン、優勝争いを期待されるチーム。こればかりは逃れられない宿命だろう。2019年からの3連覇という目標は叶わず。2021年の原巨人は61勝62敗20分け、2018年以来の負け越しで3位という結果に終わった。

常に万全の状態ではなかったが優勝戦線にとどまった。前半は独走の阪神に食らい付いた。中盤もなんとか凌ぎ、8月終了時は首位に立った。計15年の采配経験を持つ原辰徳監督の手腕が光った。だが、最終盤にまさかの大失速。優勝したヤクルトとは11ゲーム差をつけられてのV逸となった。

FAで獲得した梶谷隆幸が度重なる故障で期待外れ。チームリーダーの坂本勇人や丸佳浩が不調だった。テームズ、スモークの両助っ人はシーズン途中で帰国してしまった。などなど、敗因を挙げれば続々と出てくるだろう。それでもCSに進出し、甲子園で阪神を2勝0敗で退け、ファイナルステージまで進んだことは事実だ。

ある程度、巨人が高い次元での戦いができることを前提として、何が起これば優勝は可能だったのか。あるいは、来季の優勝が見えてくるのか。複数の他球団スコアラーの口から2人の選手の名前が挙がることが多かった。

「野球の勝敗の要因は細かいいろんな部分で存在します。ここを詳細に明かすことは当然できないですが、後半戦の巨人の場合は投手では菅野、野手では中田翔を機能させないことが大事でした。坂本、丸、岡本はある程度、活躍するとして計算していますが、その周りが打つとややこしい。投手は菅野の復活が怖かったですね」

登録と抹消を繰り返したエース菅野智之

2021年、戦前は菅野智之の日本残留が巨人の最大の補強といわれた。昨オフ、ポスティングでのメジャー移籍が成立せず、巨人残留となったことは、チームには朗報だった。だが、その菅野は本調子ではなかった。

腰痛を抱えるなど7月までに4度の登録抹消。内定していた東京五輪代表も辞退した。ただ、コンディションが改善された後半戦以降は、かつての片鱗を見せる場面もあった。CSでの2試合を含む2021年最後の5試合のデータは29.1回を防御率1.21、WHIP0.78と菅野らしい成績だった。

メジャーでの評価も低くはない。菅野は2021年中に取得した海外FA権を行使し、米球界移籍に再チャレンジする可能性もあった。だが、菅野サイドは早い段階で日本球界残留を決めた。その背景にはMLBで労使交渉がもつれ、全選手との契約を凍結するロックアウトとなったこともある。

菅野は今季取得した海外FA権を保有したまま、来季以降の米球界再挑戦に備え巨人と単年契約で更改。菅野本人や代理人らが目論むレベルの契約を掴むには、NPBで圧倒的な成績を残すしかない。来季で33歳という年齢を考慮しても、相当の覚悟で臨むシーズンとなりそうだ。

打率.154、3本塁打に終わった中田翔

打のキーマンは昨年から巨人に移籍した中田翔だ。2021年8月、日本ハムでチームメートへの暴力行為があったとして無期限謹慎中に、巨人へ無償トレード。謹慎期間中に移籍し、即出場となり世間からの批判も浴びたが、戦力補強としては他球団の脅威となった。

あの時期、巨人はまだ首位・阪神とデッドヒートを続けており、優勝の可能性も十分にあった。助っ人の途中離脱で沈みがちだったムードも、まだいけるという雰囲気に盛り返した。

他球団関係者は「それは反則でしょと思っている人は少なくないと思いますよ。もし、活躍すれば巨人は間違いなく強くなる。ただ、今年の中田は元々、腰の状態が悪くて結果を出せていない。巨人に来たから治るってものでもないので不安は不安でしょう」と話していた。

中田は巨人入団直後のDeNA戦で移籍第1号を放ったものの、その後は不安の方が的中し低迷が続いた。二軍落ちも経験し、一軍では34試合で打率.154、3本塁打、7打点という成績に終わった。

12月7日の契約更改交渉では3億4000万円から減額制限を超える1億9000万円減の1億5000万円(金額はいずれも推定)でサイン。「一から頑張りたい」と活躍を誓った。3度の打点王を誇るスラッガーとして、今こそ意地を見せる時だろう。

ともに33歳となる2022年の2人は復活なるか

中田も菅野と同じで1989年生まれ。2022年で33歳を迎える。こちらはメジャー挑戦などというモチベーションよりも、しっかりした成績を残さなければ選手生命の危機に瀕する。

2017年のWBCではエースと中心打者として活躍した菅野と中田。まだまだ老け込む年齢ではなく、状態次第ではキャリアハイの成績だって狙える。これが現実となれば巨人の優勝は相当、現実味を帯びてくる。

故障やアクシデントさえなければ、もともと優勝候補。菅野が残留し、中田翔が移籍してきたこのタイミングをどう生かすのか。計16年目を迎える原監督の手綱さばきに注目だ。

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