育成出身として歴代最多タイの12本塁打
巨人・松原聖弥にとって2021年は、まさに飛躍のシーズンだったといえるだろう。入団5年目にして初の開幕スタメンを勝ち取り、チーム2位の135試合に出場。初の規定打席到達を果たすなど、あらゆる数字を前年から伸ばした。
その中で注目したいのが長打力である。育成出身選手としては、NPB歴代最多タイとなるシーズン12本塁打をマークするなど、2021年は一発も期待できる選手に成長した。チーム屈指の俊足を武器としている松原だが、バッティングにどのような変化があったのだろうか。
前年からフライ割合が大幅に上昇
まず、注目したいのが打球性質である。打球性質は年度ごとの相関関係が認められ、ゴロが多かった打者は次の年もゴロが多くなる傾向があるが、2021年の松原は前年からフライ割合が15.5%も上昇した。
これは非常に珍しいケースで、2020・21年にそれぞれ200打球以上の選手では群を抜く数値である。ゴロが減り、打球に角度がつくようになった。
さらに、ストライクカウント別に見てみると、追い込まれる前の上昇が顕著だ。フライ割合48.4%はゴロ割合46.4%を上回る数値であり、打者有利のカウントではフライの割合が一層高くなる傾向にあった。
2022年はチームの原動力に
打球に角度がつけば、長打になる確率は上がる。2021年の全12本塁打のうち、11本塁打を追い込まれる前に放つなど、0・1ストライク時は高い長打率を記録した。
一般的に打者は追い込まれると分が悪く、簡単にヒットを打つことはできない。そのため、追い込まれる前にいかに仕留められるかがカギを握るが、2021年の松原はこれまでのゴロを転がす打撃スタイルから、打球に角度をつけるバッティングにモデルチェンジし、比較的甘い球が多くなる打者有利の状況で好結果を残した。
シーズン終盤には球団歴代2位タイの27試合連続安打を記録するなど、打撃で印象的な活躍を見せた松原。2022年はレギュラーの座を確固たるものにし、2年ぶりのリーグ制覇を目指すチームの原動力となりたい。
※文章、表中の数字はすべて2021年シーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:矢島 慎太郎
【関連記事】
・
松原聖弥が巨人入りした2016年育成ドラフトの答え合わせ、オリックスも当たり年
・
2022年の巨人コーチングスタッフ、原辰徳監督16期目で狙うV奪回
・
【ルーキー通信簿】巨人期待のドラ1平内龍太は登板3試合のみ、来季の逆襲に期待