倍増させた本塁打
開幕戦ベンチスタート。阪神・大山悠輔にとって悔しい幕開けとなった2020年シーズンだったが、終わってみれば打率、本塁打、打点の3部門でキャリアハイをマーク。中でも本塁打は28本と前年の14本から倍増させ、リーグ屈指の強打者たちとタイトル争いを演じた。
今回はそんな飛躍のシーズンを過ごした大山のバッティングについて見ていきたい。
開幕戦ベンチスタート。阪神・大山悠輔にとって悔しい幕開けとなった2020年シーズンだったが、終わってみれば打率、本塁打、打点の3部門でキャリアハイをマーク。中でも本塁打は28本と前年の14本から倍増させ、リーグ屈指の強打者たちとタイトル争いを演じた。
今回はそんな飛躍のシーズンを過ごした大山のバッティングについて見ていきたい。
大山の持ち味は、ファーストストライクから振っていく積極性だ。以前からリーグ平均を上回るスイング率を記録していたが、昨季はさらに59.0%まで上昇。これはリーグの規定打席到達者ではDeNA・ソトに次ぐ2番目の高さだった。
バッティングが小さくならないよう、フルスイングを貫くことを意識したという大山。その成果は数字に表れている。
ファーストストライクを捉えた打球に注目すると、フライの割合が前年から13ポイント増加し、ゴロの割合は8ポイント減少。より多くの打球に角度をつけて飛ばせるようになったのだ。
一般にフライ打球はゴロ打球と比べて長打になりやすく、昨季の大山もフライの増加に伴って長打率が大きく向上している。
さらに、ファーストストライクの打撃を球種別に見てみよう。18、19年は変化球の方が高い長打率を記録していたが、昨季はストレートの数字を大きく伸ばした。
本塁打の内訳は、19年までの2シーズンが直球1本、変化球7本だったのに対して、昨季はそれぞれ5本ずつ記録。宣言通りのフルスイングで、球種を問わず結果を残してみせた。
かつての「変化球に強い」という傾向を踏まえてか、相手投手が大山にストレートを投じる割合は年々増加していた。しかし昨季の大山にとって、直球勝負はむしろ追い風になったかもしれない。
昨年11月4日の試合では、ヤクルト・梅野雄吾に変化球で追い込まれるも、5球目のストレートを豪快にレフトスタンドへ運んだ。このサヨナラ弾は、彼の打撃の進化を改めて印象づける一発だった。
激動のシーズンを経て、スラッガーとして大きく成長を遂げた大山。5年目を迎える今季からは、キャプテンに就任することが決まった。チームを16年ぶりのリーグ制覇に導くべく、背番号3はバットを振り続ける。
※文章、表中の数字はすべて2020年レギュラーシーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:矢島 慎太郎