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上茶谷大河はDeNA課題の先発ローテを支えられるか【DeNAの2020年代を左右する男】

2020 6/6 06:00青木スラッガー
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DeNA課題の先発ローテーション

ようやく開幕を迎えようとしているプロ野球。今季から2020年代という新たな時代へ突入することになるが、将来10年間の戦いを見据えたうえで、各チームの命運を握ることになりそうな選手に注目していきたい。今回はDeNAの2年目右腕・上茶谷大河を取り上げる。

平成の終わりに暗黒期を抜け出し、近年はAクラスの常連となりつつあるDeNA。現在のチーム状況を見ると、1998年以来遠ざかっているリーグ優勝達成のカギとなるのは、先発投手ではないだろうか。

2019年セ・リーグ先発投手成績


昨季のチーム先発防御率4.04はリーグ5位、先発投手の平均投球回5.1回はリーグワーストだった。投球回の短さは、リリーフ投手を先発で起用して短いイニングを投げさせる「ブルペンデー」を、ラミレス監督が積極的に採用した影響もある。

ただ、ラミレス監督が就任した2016年以降の先発投手個々のデータを振り返ってみると、シーズン100投球回以上を投げた投手の人数は4人、5人、1人、2人と推移。ここ最近の2年間は、先発投手の運用に苦慮していたことがわかる。

守護神の山﨑康晃を中心とする強力なブルペンはチームの強みだが、ここ数年フル回転が続くリリーフ陣の勤続疲労も心配だ。先発陣の働きがこれから重要になってくるだろう。

その先発候補はエース今永昇太を中心に、昨季6勝の濵口遥大、今季先発転向予定の石田健大、若手の櫻井周斗やドラフト2位ルーキーの坂本裕哉と左腕が非常に多い。バランスを考えると右腕もほしいところだろう。

そこで、今後ローテの柱として大きな期待がかかるのが、2018年ドラフト1位指名で入団した上茶谷大河だ。

ドライチ投手の「2年目」はどちらに転ぶか?

昨季の上茶谷は開幕ローテ入りを果たすも、序盤はなかなかチーム勝たせる投球ができず、一時は二軍落ちも経験した。だが、5月18日ヤクルト戦で初勝利を挙げると、7月30日のヤクルト戦までの11戦を6勝0敗1完封。中盤戦は勝ち頭としてチームを支えた。

トータルでは25試合に登板し、昨季のルーキーとしてはトップタイの7勝(6敗)、防御率3.96をマーク。134投球回は今永に次いでチーム2番目に多い。なにより、ローテーションを飛ばしたのは1度のみで、先発投手の怪我人が目立つ近年のチーム状況にあって、1年目からシーズンを通して働いたのは高く評価できる部分だろう。

ただ、そのタフさでチームに貢献した一方で、東洋大学時代の前評判を考えると、7勝はやや物足りなかったか。

大学時代は最速152キロを計測し、「東洋大150キロトリオ」としてソフトバンク・甲斐野央、中日・梅津晃大とともに本格派右腕として注目を集めた。馬力があることは間違いないはずだが、昨季のストレートの平均球速は142.6キロ。どちらかというと多彩な変化球との総合力で勝負する投球内容だった。

このスタイルであればコントロールが生命線となるが、昨季の与四球率は、セ・リーグで100投球回以上を記録した19人中16位の3.43に終わっている。

相手打者がデータを揃え、対策を練ってくる2年目を迎えるにあたり、球速にしろコントロールにしろ、昨季よりも進化は必要になってくる。ルーキーイヤーに2桁勝利を挙げた濵口と東克樹は故障もあり、2年目に成績を落とした。上茶谷の2年目はどちらに転ぶだろうか。

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