全試合出場を果たすも打率が低迷
昨季、2年連続となる全試合出場を果たすも、打撃に確実性を欠き打率.232と低迷したロッテの中村奨吾。プロ入り後初めて全試合に出場した2018年、同年から指揮官となった井口資仁監督から3番打者に固定されると打率.284をマーク。昨季はさらなる飛躍が期待されていたがステップアップとはならなかった。
打撃不振が影響してか盗塁数も激減。2018年にリーグ2位の39盗塁をマークしたが、昨季は12盗塁。チーム本塁打数や得点は2018年から大幅に増えたものの、中村の機動力が使えなかったことで攻撃の幅は狭まった印象があった。
中村がシーズンを通して活躍できるかどうかは、チームの浮沈に大きな影響を及ぼす。今回は、打撃不振に陥った原因と復調するためのポイントを考察する。
福田秀平加入で機動力アップ? 2020年ロッテの開幕オーダーを予想
予期せぬアクシデントが打撃に影響
昨季、シーズン序盤の中村は絶好調だった。18試合を終えた4月20日終了時点で打率.281、5本塁打、12打点、8盗塁と、全ての部門でキャリアハイを狙えるペースで打ち続けていた。首脳陣もファンも「今年もやってくれる」という手応えをつかんでいたはずだ。
しかし、21日の試合前の練習中に清水将海バッテリーコーチと接触。左目下を10針縫う予期せぬアクシデントに見舞われ、以降は打撃の調子を明らかに崩した。打率はどんどん下降し5月11日終了時点で.198まで落ちると、同月は2割前後をさまよい続けた。
中村の長所は踏み込みの強さだ。踏み込む反動で体重が乗ると、ボールに対して強いインパクトが生まれる。勇気をもって強く踏み込むことでライト方向にも強い打球を打てる。実際、ライト方向へライナー性の打球を飛ばしている時は調子が良い。4月5日のソフトバンク戦で千賀滉大の158kmの直球をとらえて右翼席へたたき込んだ打球は中村の真骨頂だった。
打率のキャリアハイをマークした2018年、打球方向別の打率は、レフト方向が.275、センター方向が.296、ライト方向が.302とセンターから右寄りの打率が高い。同年はリーグ最多22個の死球を受けていることも、ボールを恐れずに踏み込んでいた証だ。
左目下の怪我で踏み込みが弱くなったことが影響し、昨季の打率はセンター方向が.227、ライト方向が.268と低迷。ゾーン別打率データでも、外角高め.250、外角中程.152、外角低め.125と低く、強く踏み込めていないことがわかる。
打撃で持ち味の積極性が薄れたことが走塁にも影響。負傷するまでは18試合で8盗塁とハイペースだったが、負傷後は125試合でわずか4盗塁と失速した。
平沢大河、安田尚憲、藤原恭大がレギュラー掴むのはいつ? 福浦ら歴代高卒野手の転機は5年目
復活の鍵は原点回帰
今季はオープン戦9試合に出場し、打率.179と低迷。オープン戦後の練習試合では徐々に安打が出るようになったものの、本調子とは程遠い。それでも、ライト方向への強烈な当たりも時折見られた。3月11日の日本ハムとのオープン戦、ドリュー・バーヘイゲンの高めの直球をライト方向へ弾き返した適時打は中村らしい打球だった。
強く踏み込み、甘い球を積極的に振っていく思い切りの良さが持ち味。走塁面でも失敗を恐れずに勇気をもってスタートを切る姿をどんどん見せてほしい。原点回帰が復活の鍵となることは間違いない。
長年にわたり、野手のリーダーとしてチームを鼓舞し、牽引していた鈴木大地が楽天へ移籍。リーダーを受け継ぐのは中村に他ならない。ロッテが優勝争いをするためには、走攻守にわたる中村の活躍が必要不可欠だ。
2020年プロ野球・千葉ロッテマリーンズ記事まとめ