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戦国千葉を勝ち抜いたセンバツ準優勝の習志野 44年ぶり優勝なるか

2019 8/8 17:00浜田哲男
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ⒸmTaira/Shutterstock.com

夏は8年ぶり9回目の出場

連日熱戦が繰り広げられている全国高校野球選手権。注目校は数々あるが、今春のセンバツで準優勝を果たし、170校163チームが出場した全国屈指の激戦区・戦国千葉を勝ち抜いた習志野は特筆すべき存在だろう。夏は8年ぶり9回目の出場。1967年と1975年には全国制覇を成し遂げており、今大会では44年ぶりの優勝を目指す。

OBには、75年にエースとして全国制覇に貢献した現ヤクルト監督の小川淳司のほか、元阪神の掛布雅之、ロッテの福浦和也、楽天の山下斐紹らがいる。

投打が着実にレベルアップ

選抜では小技や足を絡めながら少ないチャンスをものにしていく戦い方が印象にあったが、夏の千葉大会を通じて打撃面の進化が見られた。特に4番の桜井亨佑は5回戦を除く全試合で複数安打を放つなど、打率.517のハイアベレージを残して打線を牽引。5番の高橋雅也も打率.440、6番の和田泰征は打率.400と2年生の中軸が大きく飛躍した。

また、7番の兼子将太朗も打率.500。2年生の中軸が出塁し、兼子が走者を返すのも習志野の得点パターンのひとつだ。桜井、高橋、兼子でチーム打点の半分をたたき出しており、この3選手が打てるか否かがチームの勝敗に大きな影響を及ぼすだろう。

進化は投手陣にも見られた。選抜ではリリーフとして登板していた右の本格派エース・飯塚脩人が、接戦となった準々決勝の成田戦、延長戦となった準決勝の木更津総合戦で先発。2試合とも最後まで投げきり、完投するスタミナがあることを示した。140km超の直球を軸に、130km中盤から後半のスライダー、フォークなど、縦横の変化球を織り交ぜる投球スタイルは選抜よりも精度が高まった。

選抜では決勝の東邦戦を含む3試合に先発した左腕の山内翔太の成長も著しい。選抜では2試合で初回に失点するなど立ち上がりに不安があったが、先発した千葉大会決勝では立ち上がりに連続三振を奪い勢いに乗った。9回2安打で四死球0の快投を見せ、10個の三振を奪って完投。従来から定評のあった制球力はさらに安定度を増した感がある。

また、選抜で先発経験のある岩沢知幸は緩いスライダーが武器のアンダースロー。千葉大会での登板は見られなかったが、右腕、左腕、アンダースローと投手陣のバリエーションがあることも習志野の強みだ。

奇跡を起こした木更津総合戦

春に続き夏の出場も目指す習志野の前に大きく立ちはだかったのが、夏4年連続出場を目指す木更津総合だった。初回に3点を奪われるなど序盤から苦しい展開になったが、習志野も必死に食らいつく。それでも9回表に3度目となるリードを許すと、その裏の攻撃では2死走者なし、2ストライクまで追い込まれた。

しかし、そこから習志野は脅威の粘りを見せる。角田勇斗がカウント2-2と追い込まれてから四球でつなぐと、その後打線がつながり土壇場で同点に。延長戦に突入した大激戦は、11回裏に途中出場の山内がサヨナラ内野安打を放ち試合を決めた。粘り強さは、習志野野球の真骨頂だ。

選抜で果たせなかった優勝を

習志野は大会第4日(8月9日)に登場。沖縄の沖縄尚学との対戦が決まっている。選抜準優勝など甲子園での経験値は習志野に分があるが、1999年春には沖縄勢として初の全国制覇を達成し、2008年春にも2度目の優勝を果たした沖縄尚学は決してあなどれない。比嘉監督は99年春優勝時のエースであり、甲子園の経験を選手達に余すところなく伝えているだろう。沖縄大会では、6試合中5試合で8得点以上を挙げた打撃力を武器にノーシードから勝ち上がった。

選抜では、左腕の山内とアンダースローの岩沢が先発し、飯塚がリリーフするという継投で勝ち上がった習志野だが、千葉大会では飯塚や山内を完投させて勝利を手繰り寄せた。強力な沖縄尚学打線を、習志野投手陣がどのような継投でいかに封じ込めることができるかが、勝敗の大きな鍵となりそうだ。

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