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増田明美氏が大阪国際女子マラソンを展望「若い選手そろっていて新記録生まれそう」

2023 1/25 06:00SPAIA編集部
増田明美氏,Ⓒカンテレ
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Ⓒカンテレ

パリ五輪への第一歩が大阪から始まる

1月29日(日)に開催される第42回大阪国際女子マラソン(正午~カンテレ・フジテレビ系全国ネットで生中継)。大会当日、『大阪国際女子マラソン』公式YouTubeチャンネルでは、“裏生実況”を実施。個性豊かな出演者が、マラソン初心者も楽しめるトークや企画を展開し、より自由度の高いマラソントークで楽しくレースを盛り上げる生配信を行う。

今年は「増田明美がしゃべり倒す!限界突破の4時間半裏生実況」と題し、去年より配信時間を延長。“SP解説”を務める増田明美氏(スポーツジャーナリスト)が、今大会の見どころを語った。

2024年パリ五輪に向け、2023年10月に行われる代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の前哨戦で、MGC出場権を持たないランナーにとっては出場切符獲得を目指す大会。さらに、ブダペスト世界選手権(2023年8月)の代表選考レースでもあり、2時間23分18秒の派遣設定記録を突破したランナーは代表候補となる。

増田氏は今大会に出場する選手について「若い選手がそろっていて、新記録が生まれそうです。ピョンっと飛躍して世界に向かえそうな、まさにうさぎ年にぴったりの顔ぶれです!去年の『大阪国際女子マラソン』で2時間22分29秒を記録した上杉真穂選手(スターツ)を見て、2時間24分47秒で6位だった佐藤早也伽選手(積水化学)は悔しがっていました。その後、佐藤選手は『ベルリンマラソン』(2022年9月)で2時間22分13秒を記録。自分超えをしたい安藤友香選手(ワコール)も含め、“ライバルたちに勝ちたい、そうしたら結果が見えてくる”という気持ちが、彼女たちには見えます。」と笑顔を見せた。

さらに、「初マラソンにして、何か面白いことをしてくれそうな𠮷川侑美選手(ユニクロ)と筒井咲帆選手(ヤマダホールディングス)もいます。𠮷川選手は、1500mから3000m障害、5000m、10000m、ハーフマラソンまでこなすマルチな選手で、今回のフルマラソンの目標を、いきなり2時間21分~22分台と言っています。筒井選手は、スピード感があって強い選手ですが、これまで世界陸上や五輪には出場できていない惜しいところにいます。それが、今回の『大阪国際女子マラソン』で花開きそうです。うさぎ年にぴったりの、飛躍しそうな選手たちが集まっているからこそ、すでにパリ五輪への第一歩の緊張感が漂っていると思います」と豊富な知識で持論を展開した。

中でも注目している選手については「上杉選手が面白いと思います。佐藤選手が『ベルリンマラソン』(2022年9月)で好記録を残しましたが、上杉選手が出場していたらどうなっていたのかが気になります。28歳(佐藤選手)、27歳(上杉選手)と年齢も同じくらいなので、今大会で2人がどのような走りをするのかに注目したいです」とコメント。続けて、「今回の出場選手にフルマラソンの優勝経験者はいません。上杉選手や佐藤選手はまだマラソン経験が浅く、安藤選手は惜しいところにいますが勝ちきれていません。ここでライバルに勝つと、ピョンっと自分超えをしそうです」と期待を寄せた。

加えて、「前田彩里選手(ダイハツ)は、出産を経て母親として4年ぶりに帰ってきます。初マラソンが『大阪国際女子マラソン』だった前田選手は、大阪が故郷のような場所で、大阪に対する思いも強いのだと思います。2014年大会では、市民ランナーの母・淳子さんと合計5時間22分10秒の走りを見せ、親子によるマラソンのギネス記録を更新(当時)しました。今回の復帰もそうですが、故郷のような場所は、いつまでも人生の節目にしたいのだと思います」と話した。

さらに、「『北海道マラソン』(2022年8月)で優勝した山口遥選手(AC・KITA)にも注目しています。『東京2020パラリンピック』に視覚障がい者のガイドランナーとして出場した山口選手は、伴走さえも自分の練習にして強くなっています。35歳で、フルマラソンには60回以上出場。タフであまりケガをしないというのも持ち味です」と語った。

走りやすくなった新コースで新記録に期待

次に、第30回大会(2011年)以来12年ぶりに変更される新しいコースについては、「折り返しがなくなったのが大きく、すごく走りやすいと思います。玉造から御堂筋までの中間地点あたりでアップダウンができましたが、坂道を上ったあとは下っていくだけなので、逆にスピードに乗れるのではないかと思います」と予想。

続けて、「今までも高速レースと言われていた大会ですが、またコースが良くなりました。特に、長居公園内の周回コースは、過去に4回出場した私も苦しんだ場所です。私が現役のときは、長居公園が見えてきてから長居陸上競技場に着くまでが、本当に“長い”コースでした。ダジャレじゃないですけど(笑)!1984年の第3回大会では、公園内のラストスパートで、カトリン・ドーレさんに抜かれました。とにかく気持ちが萎えてしまうくらい長かったのですが、今回は最初に公園内の周回コースを走るので、終盤、競技場が近づいていることが分かったときには、すぐにゴールへ向かえます。それが選手にとってはすごく良いことだと思います」と自身の現役時代を振り返りながら話した。

また、今大会では沿道の応援が復活。「大阪の方々は、選手のことを本当によく知っています。過去に、渋井陽子さんが『大阪国際女子マラソン』でスパートをかけたときには、沿道で応援してくれていた男性から“渋井!まだスパート早いんちゃうか!?”と言われていたことがありました(笑)。ほかにも、那須川瑞穂さんが先頭を走っていたときは、“なっちゃん!風邪ひくなよ!”という声援が飛びました。そのような温かい応援が、選手にとっては本当にうれしいと思います」とほほ笑んだ。

最後に「今回の『大阪国際女子マラソン』に出場する選手は、自分の強さをアピールするMGCの前哨戦だと思っています。個性豊かな選手がそろっていて、コースも走りやすくなりました。海外からも2時間20分台で走る招待選手がこられますし、ペースメーカーが外れる30km地点から日本の選手たちと競い合えば、新記録が生まれるかもしれません。相手選手の強さは、集団の中で一緒に走っていると肌で感じるので、MGCに向けて、自分に自信をつけたいのも、他の選手にプレッシャーを与えたいというのもあるでしょう。パリ五輪への第一歩が、大阪から始まっています!」と見どころを語った。

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