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野口みずき氏、自身の女子マラソン日本記録樹立から18年経ち「世界に置いていかれる」

2023 1/24 06:00SPAIA編集部
野口みずき氏,Ⓒカンテレ
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Ⓒカンテレ

大阪国際女子マラソン1月29日号砲

1月29日に開催される第42回大阪国際女子マラソン(正午からカンテレ・フジテレビ系で全国生中継)の解説を担当する野口みずき氏(アテネ五輪金メダリスト)が見どころを語った。

2024年パリ五輪に向け、2023年10月に行われる代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の前哨戦で、MGC出場権を持たないランナーにとっては出場切符獲得を目指す大会。さらに、ブダペスト世界選手権(2023年8月)の代表選考レースでもあり、2時間23分18秒の派遣設定記録を突破したランナーは代表候補となる。

野口氏は12年ぶりに変更される新コースについて「今までよりもスムーズに走れるコースになっているので、好記録が続出するのではないかと期待しています。2003年の『大阪国際女子マラソン』のように、大会新記録が多数出るといいなと思っています」とコメント。

続けて、「中間点を過ぎてから続く下り坂がコースのポイントです。一気に流れを変えて、どんどんスピードを上げていくような展開になるのではないかと思っています。元々スピードコースと言われていて走りやすかったのですが、折り返しでスピードを緩める際に足に負担がかかり、ひねる選手もいました。ただ、今回は急な折り返しがなくなったので、選手もスピードを緩めることなく、グングン走っていけると思います。長堀通を走るというのは、大阪に住んでいる私にとって、なかなか斬新で面白いことだと感じています」と話した。

自身が2005年のベルリンマラソンで樹立した日本記録については「もう18年も経ちますから。やはり、日本と海外の選手の記録では差がどんどん広がっているので、先日の『ヒューストンマラソン』の新谷仁美選手(積水化学)に続いて、どんどん2時間20分を切って風穴を開けないと置いていかれると思います。なので、今大会のようなコースを用意していただけることは選手にとってモチベーションになりますし、テンションも上がると思うので、ぜひこのコースで好記録がたくさん出てほしいと願っています」と期待した。

母親になった前田彩里に注目

注目選手については「やはり安藤友香選手(ワコール)や、佐藤早也伽選手(積水化学)など、自己ベストが上位の選手が積極的にレースを進めていくと思います。そして私は、母親になって4年ぶりに帰ってきた前田彩里選手(ダイハツ)にも注目しています。彼女は幼い頃から走ることが大好きだったからこそ、今はチームと離れて1人で練習していますが、逆に止めないといけないくらいトレーニングをガンガン積んでいます。出産を経てまた精神的な強さが付いたのではないかと、成長した彼女の走りをとても楽しみにしています」と明かした。

優勝候補は「今の段階では分かりませんが、安藤選手や佐藤選手あたりがくるのかなとは思います。そこに前田選手がどこまで食い込めるか、というところです。そして、初マラソンの𠮷川侑美選手(ユニクロ)と筒井咲帆選手(ヤマダホールディングス)も、トラック種目での記録が非常に良く目標も高いので、上位に入ってくると思います。今までの『大阪国際女子マラソン』でも、初マラソン世界最高記録を達成している選手もいるくらい、初マラソンでドラマを生み出すこともあります。フルマラソンで優勝経験のある選手がいないからこそ1位は予想できませんが、皆さんに優勝を目指してほしいです」と笑顔を見せた。

さらに「『大阪国際女子マラソン』は、関西ならではの声が大きい熱い応援も特徴です。今はコロナ禍で大声を出せませんが、前までは本当にサンバでもしているのではないかと思うくらいにぎやかでした(笑)。スティックバルーンや横断幕を見て、自分へのメッセージが書いてあったりすると本当にパワーをもらえます。応援の力というのが、どの大会にも負けないくらいのパワーを持っていたので、私は何回でも出場したいと思っていました。故障での欠場が多く、結局1回しか出ませんでしたが(笑)」と笑った。

野口氏は2016年に現役を引退。翌2017年以来、大阪国際女子マラソンで毎年解説を務めているが、「もう嫌だな~と。あの中継車に乗りたくないないな~と(笑)。毎年“選手の方がいい!”と思うくらいとても緊張します。ただ、アナウンサーの方とうまくやり取りをして解説をするのは、ほんの少しだけ慣れてきたように思います。それでも、まだまだだと思うので、しっかりと選手の動きや目の前で起きたことを見て、分かりやすく視聴者の皆さんに伝えていけたらな、と思っています」と本音を明かした。

そして、今年が大阪国際女子マラソン初解説となる福士加代子氏については「彼女はヤバいです(笑)。前回大会では、優勝した松田瑞生選手(ダイハツ)のインタビュー中に福士さんが入ってきて、自分の聞きたいことが全然聞けず、本当に悩まされました。“現場からは以上です”と早く締めようかなと思ったくらいです(笑)。その分、今年は比較的大人しく、スムーズに進められるかと思います(笑)」と笑った。

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