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陸上男子100m世界歴代10傑、フレッド・カーリーはボルトの後継者になるか

2022 7/6 06:00田村崇仁
フレッド・カーリー,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

全米王者、世界歴代6位タイの9秒76

7月16日に米オレゴン州ユージンで開幕する陸上の世界選手権。日本勢の活躍も楽しみだが、男子100mで「世界最速」の称号が誰に渡るのかも大きな見どころだろう。その大本命とみられるのが、6月の全米選手権を制した昨夏の東京五輪銀メダリストのフレッド・カーリーだ。

テキサス州生まれで191センチの長身。もともと400mを専門とし、世界歴代8位の43秒64の自己記録を持つ27歳の万能型スプリンターでもある。

今季は春先から絶好調で全米選手権の100m予選で9秒83の自己ベストをマークすると、準決勝で世界歴代6位に並ぶ9秒76(追い風1.4m)の今季世界最高を樹立。決勝ではスタートで出遅れたものの、中盤からの加速でマービン・ブレイシー、トレイボン・ブロメルといった他のライバルを抜き去り、9秒77の堂々たるタイムで頂点に立った。

特に後半の圧倒的な強さは、9秒58の世界記録を持つスーパースター、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)のような異次元の力を秘めている。

陸上男子100m世界歴代10傑

ブロメルが2位、ジャマイカのブレイクも健在

今季の世界トップリストをみると、9秒90の壁を破っているのは8人。カーリーに次ぐ2位は、同じく全米選手権で9秒81をマークした26歳のトレイボン・ブロメルだ。2015年世界選手権(北京)で3位に入った実績もあり、自己記録はカーリーと並ぶ9秒76の実力者でもある。

「マラソン最強国」ケニアのフェルディナンド・オマンヤラは5月に9秒85をマークしており、伏兵とみられる存在だ。

母国ジャマイカの英雄ボルトに次ぐ世界歴代2位タイの9秒69の自己記録を持つ32歳のヨハン・ブレイクは6月24日、世界選手権代表選考会を兼ねたジャマイカ選手権で9秒85をマークして優勝し、ベテランの健在ぶりを示している。

坂井隆太郎は今季28位、サニブラウンは37位

今回本命に挙げられるカーリーは2019年世界選手権(ドーハ)の400mで銅メダルを獲得した実績もある。100mに主戦場を移してから、まだ日は浅いともいえるが、世界最高峰のダイヤモンドリーグでは100m、200m、400mでも優勝経験があり、史上初めてダイヤモンドリーグで短距離3種目制覇を達成した選手となった。

2019年ドーハ世界選手権金メダリストのC.コールマンは全米選手権決勝を棄権しており、今季の勢いを見ると、最も優勝に近い存在といえるだろう。

「世界一決定戦」という名の通り、過去にカール・ルイス、セルゲイ・ブブカ、ウサイン・ボルトなど、世界のスーパースターが数々の伝説を作り上げ、世界中を熱狂させてきた世界陸上。今夏はどんなドラマが待ち受けているのか。世界を驚かせる走りを期待したい。

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