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2021年の箱根駅伝はルーキーが熱い!1年生に逸材そろう

2020 11/29 11:00鰐淵恭市
イメージ画像ⒸChiccoDodiFC/Shutterstock.com
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駒大、東海大、青学大が「3強」

コロナ禍による出雲駅伝の中止により、学生3大駅伝の初戦となった全日本大学駅伝(11月1日)。そこで見えたのは、噂通りの駒大、東海大、青学大による「3強」の強さもさることながら、学生駅伝デビューとなった1年生に逸材がそろっているということだ。

2021年1月2、3日に開催される第97回東京箱根間往復大学駅伝競走は、ルーキーが活躍する大会になる可能性が高い。

東京五輪を狙う「オフローダー」順天堂大・三浦龍司

全日本で前評判通りの走りを見せたのは順大の1年生、三浦龍司(京都・洛南高出身)だ。

1区(9.5キロ)で区間記録を18秒更新する27分7秒の区間新をマーク。持久力に加えて脚力を必要とする3000メートル障害を「本職」とするランナーらしく、力強いラストスパートを見せ、残り300メートルで周りを置き去りにした。それでも、「余力があった」と振り返るのだから、その底力には恐れ入る。

ルーキーながら、三浦の活躍は今年の学生長距離界で光り輝いている。7月には3000メートル障害で8分19秒37の日本歴代2位、U20(20歳以下)の日本記録をマークした。有効期間外だったが、東京五輪参加標準記録の8分22秒00を上回る走りを見せた。今、日本の大学生の中で、東京五輪に最も近い選手と言われている。

この種目で、順大の五つ上の先輩の塩尻和也が2016年リオデジャネイロ五輪に出場している。塩尻は三浦の憧れの存在。三浦が来年の東京五輪に出場すれば、塩尻と同じ大学2年生での出場になる。

三浦の強さはロードでも発揮されている。10月にあった箱根の予選会では、東京五輪男子マラソン代表の大迫傑が持っていたハーフマラソンのU20日本記録を6秒更新する1時間1分41秒をマークし、日本選手最上位となる5位でゴールした。1年生ながら、すでに箱根の距離にも対応できるスタミナを持っているといえる。

そして、箱根では山下りの6区を希望しているという。「オフローダー」である3000メートル障害の選手にとって、アップダウンのきつい山はうってつけかもしれない。

だが、そのスピードとパワーは、場合によってはエースが集う「花の2区」向きとも言える。憧れの先輩である塩尻も4年連続2区を走った。いずれにせよ、名門順大を引っ張るのはこのルーキーに間違いない。

「駅伝力」を持つ青山学院大のルーキー・佐藤一世

全日本では4位に沈み、「でこぼこ駅伝だった」と渋い顔を浮かべた青学大の原晋監督だったが、1年生の佐藤一世(千葉・八千代松陰高出身)の走りには最大限の賛辞をおくった。

「高校時代と同じように『駅伝力』を発揮してくれた」

佐藤は昨年の全国高校駅伝で10キロを走る「花の1区」で区間賞を獲得した。28分48秒という記録は、都大路の1区で歴代日本選手最高となるタイムだった。

原監督は佐藤が見せる駅伝での強さを「駅伝力」と評している。そして、佐藤は全日本の5区(12・4キロ)でもその力をいかんなく発揮した。

トップと1分17秒差の4位でたすきを受けると、ぐんぐん加速。途中、高校時代のチームメートで、ライバルでもあった順大の石井一希と並走する場面も。しかし、それもあっさりと振り切り、トップと10秒差の2位でたすきを渡した。タイムは35分47秒。区間新の快走だった。

「欲を言えば1位になりたかった。区間賞は最低限の走り」

力のあるルーキーとは言え、箱根に出場するためには層の厚い青学大の仲間たちに勝たなければならない。距離も全日本の倍近くあるだけに、1年生ではスタミナに不安も残る。しかし、外さない走りをする佐藤の「駅伝力」は、連覇を狙う青学大には欠かせない。

ガッツあふれる東海大の1年生・石原翔太郎

駅伝で力を発揮するタイプという意味では、東海大の1年、石原翔太郎(岡山・倉敷高出身)も佐藤に負けていないかもしれない。

全日本で連覇を狙った東海大は2区を終えて17位になるなど、序盤に大きく出遅れた。そんなチームを救った立役者の1人が、4区(11・8キロ)で33分16秒の区間新をマークした石原だった。

両角速監督が「ガッツがあって、積極的」と見る通り、石原は11位でたすきを受けると、攻めの走りで前を追った。

学生駅伝デビュー戦ながら、「区間新を狙っていた」と強気だった。「中盤以降、落ちたのが課題」とは言いつつも、5人を抜いて6位に浮上。チームを優勝争いができる位置にまで引き上げる、上々の走りだった。

石原も佐藤同様、箱根を走るとなれば、全日本の倍の距離を走らなければならない。スタミナは未知数だが、ロードで力を発揮するタイプだけに、面白い存在になりそうだ。

名門復活の鍵を握るスピードスター、中央大・吉居大和

全日本には出場しなかった、名門中大には1年生のスピードスターがいる。高校時代、インターハイの5000メートルで日本選手最高の3位、駅伝でも全国優勝に貢献した吉居大和(宮城・仙台育英高出身)だ。

逸材は大学に入ってからも、その力をいかんなく発揮している。7月に5000メートルで13分28秒31のU20日本新をマーク。10月の箱根予選会ではハーフマラソンの従来のU20日本記録に並ぶ1時間1分47秒で10位に入った。11月には1万メートルでU20日本歴代3位となる28分8秒61をマークするなど、スピードとスタミナを兼ねそろえている。

箱根では歴代最多の14度の優勝を誇る中大だが、最後の優勝は1996年。ここ数年はシード権も獲得できていない。名門復活には、このスピードスターの力が必要だ。

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