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さらばペイトリオッツ トム・ブレイディがバッカニアーズ移籍へ

2020 3/20 11:00末吉琢磨
バッカニアーズへ移籍するトム・ブレイディ
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Ⓒゲッティイメージズ

アメリカスポーツ界を揺るがす大ニュース

NFLの移籍市場が幕を開けて早々に、リーグを揺るがす大ニュースが飛び込んできた。あのトム・ブレイディが20年間所属したニューイングランド・ペイトリオッツを離れ、タンパベイ・バッカニアーズへ移籍することに基本合意したというものだ。

全米の各メディアはこぞってこの移籍に関するニュースを取り上げ、多くの選手やファンがSNS上でこの件についてコメントを残している。

ペイトリオッツの絶対的な中心選手として

ブレイディは既に伝説的なQB(クオーターバック)であり、それはその実績が物語っている。彼がペイトリオッツの20年間で残したものは、史上最多6度のスーパーボウル制覇。そのうちの4回でスーパーボウルMVPを獲得しており、こちらも史上最多を誇る。

先発QBに昇格した2年目以降、全てのシーズンでチームを勝ち越しに導き、その間、地区優勝を逃したのは2002年と2008年の僅か2回のみ。2008年に関しては開幕戦で怪我を負い、それ以降出場していなかった。

彼はアメリカの全てのプロスポーツの中で、もっとも長く続いた単独チームによる支配的な時代、「ペイトリオッツ王朝」の中心選手であり、そして象徴でもあったのだ。

NFL史上最高の選手であることを証明するために

これほどの選手であるブレイディですら1つのチームでキャリアを終えることができなかった。これは、アメリカのプロスポーツがどれほどビジネス・ライクに行われているか、を如実に表している。特にNFLは、より厳格なサラリーキャップ制度を敷いているため、チームの顔である選手も簡単に放出されてしまうことがあるのだ。

しかし、ブレイディにとって今回の移籍は、彼の歴史的な評価を決定的なものにするためのチャンスでもある。なぜならブレイディの功績は、常にヘッドコーチ、ビル・ベリチックとセットで語られることが多いからだ。

NFL史上でブレイディと比肩することができる唯一のQB、ジョー・モンタナも、ビル・ウォルシュという伝説的で、革命的なヘッドコーチの恩恵を大いに受けた。だが、彼はジョージ・シーファートという別のヘッドコーチの元でもスーパーボウルで勝利をあげている。

ブレイディにとっては、移籍先のバッカニアーズが魅力的なレシーバー陣を揃えていることも心強い。昨シーズン初めてプロボウルに選ばれたクリス・ゴドウィンは、ProFootballFocusによる評価でWR(ワイドレシーバー)トップの選手。ベテラン、マイク・エバンスももちろん健在で、彼も7位にランクしている。

ペイトリオッツは近年WRの補強がうまくいかず、それがブレイディの負担を増加させていた面は少なからずあった。ペイトリオッツのWRで、このランキングの最上位にいるのはジュリアン・エデルマンで、53位でしかない。

バッカニアーズは昨シーズン、7勝9敗と負け越しに終わっている。ブレイディがこのチームをスーパーボウルに導き、勝利をあげることになれば、彼の歴史的な評価は決定的なものになるだろう。

今シーズンのスーパーボウルの開催地は、バッカニアーズのホーム、フロリダ州タンパはレイモンド・ジェームス・スタジアム。その舞台は整っている。

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