10年で5回甲子園出場の木更津総合
千葉県の高校野球では、私立の木更津総合と公立(市立)の習志野がしのぎを削っている。
過去10年で5回の夏の甲子園出場を果たしているのが木更津総合だ。2016年から2018年まで県大会3連覇を果たしており、一時期は千葉県代表といえば木更津総合ともいえる地位を確立していた。
2019年の夏は、準決勝でライバルの習志野に敗れ、ベスト4に終わったものの延長11回、6-5の大接戦。大いにスタジアムを沸かせた。
そんな私立の名門、木更津総合だが多くの私立の強豪校の特徴である、圧倒的な力で勝っていく野球というわけではない。どちらかといえばしっかり守って確実に勝つ堅実な野球だ。
過去10年の初戦のスコアを見ると3点差以内の試合が5回と約半数。二桁得点の試合もトータルで12試合(51試合中)と、強豪としては少ない数字である。準々決勝くらいまでは二桁得点当たり前の他の強豪私立とは少し違う。
ディフェンスに目を向けると、過去5年で無失点試合は過去32試合で14試合あり、4失点以上したのはわずかに3試合。その他15試合は1~3失点で安定している。必ず無失点で抑えるというわけではないものの、大崩れしないのが強みと言える。
確かな強さを持つ木更津総合だが、2020年は巻き返しの年になりそうである。というのも2019年の秋大会もベスト4に終わっているからだ。しかも、敗れた相手はまたしても習志野だった。延長12回の激戦の末の敗退。まさに夏の繰り返しになってしまったのである。
ちなみに、木更津総合は全国でまずまずの成績を残している。過去10年で夏の甲子園に出場した5回中、1回も勝てず敗退したのは2回だ。その他の3回は2勝を挙げている。
甲子園に出場できれば、成績を残せる木更津総合。宿敵の習志野を破り、巻き返しを図りたい。
2019年夏秋制覇の習志野
2019年、夏季千葉大会で優勝したのが習志野。過去10年でベスト4以上が8回。そのうち、優勝2回、準優勝3回と間違いなく千葉の強豪校である。
全国でも初戦で強豪、沖縄尚学と延長10回の接戦の末、勝利を収めた。公立校の中では全国でもかなりの強豪で、2019年の春のセンバツで準優勝を飾っている。その際も、星稜、明豊という私立の強豪校を撃破した。
昔からの高校野球ファンには、私立の強豪にも引けを取らない強さを持つ公立校ということで好感を持つ人も多いのではないだろうか。
千葉では強豪で名高いが、実は夏の地方大会を見ると圧倒的な試合というのは少ないのが特徴だ。過去5年の夏大会の32試合で、二桁得点はわずかに1回なのだ。木更津総合同様ずば抜けた破壊力で圧倒するタイプのチームではないのである。
無失点に抑えたのは6試合で、優勝した2019年も初戦の安房戦以外は得点を許している。鉄壁の投手力というわけでもないが、それでも、ここまで勝てているのは、大勝はしないものの堅実な野球ができているからだろう。
過去5年で3点差以内での試合は13試合で11勝2敗。接戦での強さが光る。2019年は秋季大会も優勝し、さらに関東大会では1回戦で名門、前橋育英に勝利するなど勢いにも乗っている。
「かつての強豪」とされる前に巻き返したい専大松戸
2015年夏に優勝した専大松戸。過去10年で6回のベスト8入り、5回のベスト4入りを果たしている強豪だが、ここ数年は不調だ。
夏の大会でのベスト4入りは優勝した2015年以降ない。ベスト8入りも2017年を最後に2年間果たせていない。過去5年の敗戦中、5失点以上したのは4回。優勝した2015年は4失点が最多である。また、優勝した前年でも決勝で13-2で東海大望洋に敗れている。
ベスト4入りの常連だった2010年から2015年のなかで、2011年から2013年まで、3年連続1点差での敗退。あと一歩で勝てない状況が続き、やっと優勝して以降は厳しい状況が続く。そんな中、2019の秋大会でベスト4に入り込んだのは光明。かつての輝きを取り戻すか注目だ。
2強ではあるものの面白い千葉の高校野球
千葉の高校野球は、木更津総合と習志野の2強である。確かにその通りなのだが、有力校の試合でも圧倒的な差がつく試合が少ないのが千葉の面白いところだ。
2018年の夏に習志野を破った中央学院、2019年の秋に準優勝し、専大松戸を下した拓大紅陵、2014年に優勝した東海大望洋など、大会を盛り上げてくれそうな高校も多い。