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リオデジャネイロ五輪も感動した!レスリングの基本ルールについて

2016 12/16 20:07
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Photo by Lilyana Vynogradova / Shutterstock.com

レスリングは、紀元前3000年以前からある世界最古の格闘技スポーツで、古代オリンピックでも競技種目だった。 リオデジャネイロ五輪では、男子4名、女子6名が出場し、金4個・銀3個のメダル獲得に日本中が歓喜した。 ここでは観戦がもっと楽しくなるレスリングの基本ルールを紹介する。

レスリングの歴史

人類最古のスポーツとされるレスリングの起源は、5000年前のシュメール人まで遡る。
紀元前776年にアテネで発祥した古代オリンピックでも、5種競技の1つだった。古代ギリシャでは科学と神の芸術として、若い男性にとって最も重要なトレーニングだった。当時はオリーブオイルや砂をつけて裸で戦ったそうだ。古代ローマ時代には、若い貴族や兵士、羊飼いたちに人気のスポーツになったが、皇帝テオドシスによって競技が禁止された。その後ルネッサンス期に復活を果たした。
近代に入り、1904年アメリカの大会で初めてフリースタイルが紹介され、1908年に正式種目になった。日本には1929年、早稲田大学の柔道部がアメリカのワシントン大学で出会ったのが始まりで、1932年のロサンゼルス五輪で初参加した。また、女子レスリングは、1970年代にヨーロッパで始まり、2004年のアテネ五輪から正式に種目に加わった。

レスリングの種目・勝敗

レスリングの試合時間は3分間を1ピリオドとして2ピリオド戦う。パワーとスピードが全開のとても濃い6分間だ。
相手の両肩をマットに1秒間つけるとピンフォール勝ちになる。柔道にたとえると一本勝ちだ。他に投げ技が4点、うつ伏せの相手を仰向かせると2点、立ち技で相手を場外へ出すと1点などと決まっていて、多く入った方がそのピリオドの勝ちになる。相手への打撃、関節技、噛みつき、しめ技、指を折り曲げるなどは反則だ。
なお、これまでの最長時間の試合は、日本が初めて参加した1912年のストックホルム五輪の決勝戦で11時間40分!ギネスブックにも載っている。屋外でマットが3ヶ所ひかれただけで行われ、古代からの決まり事としてフィンランドのアシケイネン選手対ロシアのクライン選手のどちらかが勝つまで行われた。

レスリングの基本ルール フリースタイル

レスリングは直径9mの円の中で行う、1対1の格闘技だ。円の中の黄色い部分がセンター(場内)と呼ばれる戦う場所だ。赤いラインはパッシビティゾーン、その外側は場外だ。相手の両肩をマットにつける(フォール)べくタックル、投げ技などをかける。フォールをとれなくても技のポイントの差で勝敗が決まる。もしも審判の判定に不服なら「チャレンジ」というビデオチェックができることになった。
フリースタイルは、レスリングの中では新しい種目だ。自分の全身を使って相手を攻め、また全身を使って防御できる。スピードある技の攻防が見どころだ。相手のバランスをタックルで崩すのが有効とされている。テレビで見ていても、低い姿勢で相手と間合いをとって技をかけるタイミングを計っている。ご存知のように日本女子の世界ランキングは高い。

レスリングの基本ルール グレコローマン

一方のグレコローマンスタイルは、基本のルールは同じだが、腰から下が使えない。攻撃も防御も足を使えないのだ。上半身のみへの技の攻防のためより高度な技術を求められ、スープレックスなど豪快な投げ技を中心にダイナミックな試合展開になる。
試合は2分間、3ピリオドで戦う。ピリオドの最初の1分半は両者立ちあがったスタンドレスリング、残りの30秒は伏せた状態のグラウンドレスリングから戦う。
このグレコローマンスタイルという言葉は、”ギリシャとローマのスタイル”という意味だ。古代ギリシャやローマ時代から続くパンクラチオンの伝統に由来している。

レスリングの魅力

相手の攻撃をかわすための崩れない体幹バランスや柔軟性、力を維持するためのスタミナとパワー!苦しいトレーニングを積んだからこそ得られる、勝利の瞬間!
経験してみないとわからない境地だが、最近子供たちや高校生の間で人気が出ている。

(1)体格に関係ない(階級があるので)
(2)スポーツが苦手でも大丈夫!
(3)努力した分強くなる
(4)格闘技の中では安全
(5)全身運動、身体能力が上がる

見るよりも体験した方が楽しそうだが、シンプルながら奥深いスポーツ、体も心も強くないと勝てない極限の6分間、相手を読みながらの攻防は見応えがある。

まとめ

いかがだっただろうか。格闘技の頂点と言われるレスリングの基本ルールをまとめてみた。 古代オリンピック前から続く歴史ある競技だ。ショー的な要素を持つプロレスとはまた違い、シンプルに人間の根幹を高めるスポーツとして世界中で実施されている。 リオ五輪で選手とコーチの喜びあったあの感動を、今後の五輪でも味わいたいものだ。