レスリング最多のメダル数を誇るのはロシア!
ロシアは旧ソ連時代からレスリングで圧倒的な強さを誇ってきた。夏季オリンピックでこれまでに獲得してきたメダルは金25個を含む合計51個。世界選手権でもダントツの成績をあげている。
もともと広大な領地をもっていた旧ソ連は、その中にバルト三国やコーカサス地方など伝統的な格闘技をもつ地域を多く含んでいた。それらの伝統格闘技が盛んに行われ、ルールもレスリングとあまり変わらないため、昔から素地ができあがっていたと言えるだろう。
ロシアのレスラーといえば「霊長類最強の男」と呼ばれるカレリン抜きには語れない。1987年から2000年までの13年間無敗、オリンピックではソウル・バルセロナ・アトランタの3大会で連覇を成し遂げた。
女子レスリング最強の日本!吉田沙保里は世界の女子選手から尊敬の的
男子レスリングも数々のメダルを獲得してきたが、「女子レスリングの聖地」といわれるほど、日本は世界から注目されている。
日本が強い理由のひとつは、その選手層の厚さ。力のある女子選手たちは至学館大学に集まり、世界レベルの優れた指導者のもとでトレーニングしている。また、東京にあるナショナルトレーニングセンターには各競技最新鋭の設備が整えられているが、ここを最も利用するのもレスリングの人たち。日本レスリングの交流合宿には世界中の選手達も参加するものの、彼らでさえ前半で疲れ切ってしまうようなトレーニングが行われているそうだ。
日本の女子レスリングと言えば五輪3連覇を成し遂げた吉田沙保里選手。リオ五輪では惜しくも4連覇を逃してしまったが、その決勝は世界の女子選手から最大のライバルと言われながらも尊敬の人となっていることがよくわかる戦いだった。
レスリング大好きのアメリカ!シーズン中の競技人口は日本の100倍
レスリングはアメリカでは男女ともに大人気の競技だ。シーズン中の競技人口は100万人を超えるとも言われ、日本の競技人口が約1万人であることと比較すれば、その数は100倍を越える。様々なイベントが行われており、ニューヨーク・タイムズスクエアやアメフト会場など、本来レスリングの会場ではない場所でも試合が行われることがあるくらい親しまれている。
アメリカのレスラーとして2016年のリオ五輪で印象的だったのは女子レスリング53kg級のヘレン・マルーソス選手。吉田沙保里選手を破って金メダルを獲得した。
レスリングを始めたのは吉田沙保里選手を見て憧れたことがきっかけで、反対する両親を説得してトレーニングを続けてきたそうだ。打倒吉田のために吉田沙保里選手の試合映像を何度も見て研究し、日本語のインタビューも英語に訳して研究したとのこと。吉田沙保里選手を深く尊敬していると語っていた。
国が獲得したメダルの半数以上をレスリングで獲っているブルガリア!
バルカン半島にあるブルガリアは、国が獲得するメダルの半分以上をレスリングで獲得している。北京五輪では5つのメダルのうち4つ、2013年までのメダル総数で見ても計220個のうち68個をレスリングで獲得しており、ブルガリアが参加した全競技の中で最多を誇っている。
ブルガリアには伝説的なレスラーがおり、名をダン・コロフという。彼のレスリングとの出会いはアメリカに渡って労働階級として働いていたとき。彼の連勝記録は伝説となっており、後にその名を冠した「ダン・コロフ国際大会」が行われるようになった。「ダン・コロフ国際大会」にはブルガリアの選手のみならず日本からも参加しており、吉田沙保里選手もこの大会で好成績をおさめている。
国技がレスリング!観客までレスリングに詳しいイラン
最後にご紹介するのはイラン。レスリングを国技としており、国民からの絶大な人気を誇っている。その普及率は観客席を見ていてもわかるほど。試合で観客席を埋める人の数が非常に多く、彼ら観客がまたレスリングの知識をしっかりもっていて、高難度の技が決まったときだけ歓声を上げるのだそうだ。
リオ五輪でのメダル獲得数は5個だった。
イランのハサン・ラミヒ選手は2012年のロンドン五輪にも出場しているが、その時は残念ながら8位。しかしその後力をつけ、世界選手権で銅メダル2個、金メダル1個を獲得する。2016年リオ五輪では57kg級で銅メダルを獲得した。また、戦った相手の選手が起き上がるのを手を貸して助けるというその紳士的な態度でも話題となった。
まとめ
日本でも注目度が高まっているレスリング。他の格闘技から見れば比較的安全だと言われ、世界各国で広く親しまれている。子どものうちから始めることができる競技で、日本国内でも大小様々な大会が行われている。興味をもった方はぜひ大会で観戦してみて欲しい。