V1リーグ・ファイナルで計36点の大活躍
バレーボール男子V1リーグのファイナル(決勝)が2月29日、群馬県高崎アリーナで行われ、ジェイテクトSTINGSが連覇中のパナソニックパンサーズを、フルセットの末で破り、初優勝を決めた。
勝利の立役者は、弱冠20歳の西田有志。5セットで決めた得点は、スパイクが31点、ブロックが1点、サーブが4点の計36点だった。チーム内得点数2位は、世界的な名手である元ブルガリア代表のカジースキ・マテイの24点。爆発力を秘めた西田の最大の魅力はなんといってもジャンプサーブだろう。
オポジットという攻撃力を求められるポジションを務める西田は、身長186センチと決して高いわけではない。しかし、スパイクジャンプの最高到達点が約350センチという抜群のジャンプ力と、左腕から繰り出される相手のブロックやレシーブを吹き飛ばすほどのパワーを持ち合わせる。
その中でもとりわけ魅せるのが、ジャンプサーブ。強烈で鋭いジャンプサーブに、相手レシーバーが反応できなかったり、ボールの正面に入ってもはじかれてしまったり、西田にサーブ順が回ると、チームへの得点の予感が否応なく漂う。
ファイナルのサーブ効果率23.9%
ファイナルで西田はサーブを22本打ち、サーブ効果率は23.9%と高い数字を残した。ノータッチエースなどサーブポイントは4点を含め、彼がサーバーの時には相手守備が乱れて得点に繋がるなどチームは9点を稼いだ。ファイナルに限った数字でなく、西田は2019・2020年シーズンのリーグ戦レギュラーラウンド27試合で、サーブ効果率は19.8%と堂々の全選手1位を獲得している。
彼のサーブの凄さは、強打しながらもミスが比較的少ないところ。大抵の選手なら、相手守備を崩すほどの力強いジャンプサーブを打つと、どうしてもミスの可能性も高まる。そこで、大抵の選手はミスしたくない場面や、試合の要所となる場面では、力を押さえたジャンプサーブを打つ。
西田はミスを恐れてしまいそうな場面でも、思い切り良くジャンプサーブを放ち、得点につなげている。技術面の要素もあるだろうが、心理面もタフなのだろう。
手元で伸びるスライダー回転
もうひとつ西田のジャンプサーブの凄いところは、サーブの曲がり具合。コート左側から対角線上に西田がジャンプサーブを打つと、強烈なスライダー回転、斜め横に滑るようなサーブに変わる。相手レシーバーからすると、手元で急に伸びてきたような間隔になるボールとなり、非常に対処しづらい。
昨秋のワールドカップのカナダ戦で、第5セット9−9で西田にサーブが回ると、サービスエースを連発し、ほぼ1人で試合を決めるという離れ業を演じた。この時のサーブが主に、対角線上に打った“スライダー”サーブだった。
ファイナルでは、相手守備の狙いどころの指示もあったのだろう、西田は真っすぐ方向に縦回転ジャンプサーブを中心に打っていた。それでも西田の豪腕で狙われた、パナソニックのリベロの永野健、ポーランド代表のクビアク・ミハウといった守備の要たちが苦慮し、サーブカットを乱していた。
2018年1月に高校3年17歳でデビューしてから2年。20歳にして中心としてチームを引っ張り、そしてチーム史上初となる優勝へと導いた。